ThinkPad X1 Yoga ベンチマークテストの結果とThinkPad Penの使用感について
前記事(ThinkPad X1 Yoga レビュー 14型サイズで約1.36kgの薄型軽量 2in1ノート)に続き、今回は ThinkPad X1 Yogaの構成や性能面、ペンの使用感について。
掲載モデルはWindows 10、14.0型FHDタッチパネル、Core i7-6500U、メモリ8GB、256GB SSD(PCIe-NVMe)等を搭載するハイスペックな構成のモデル。
本製品には外部グラフィックスを搭載するようなオプションは提供されていませんが、ストレージにはデフォルトでSSDが搭載されるなど、ビジネス用途のノートPCとしては十分に高性能であり、どのような構成を選択しても性能不足を感じる事はまずないと思われます。
今回は、上記構成の ThinkPad X1 Yogaを利用して性能面の検証を行うと同時に、ペンの使用感などについても簡単に確認してみたいと思います。
2016年9月12日追記: メール会員限定だったOLEDモデルですが、現在直販でもOLEDモデルが購入可能となっています。
【ThinkPad X1 Yoga レビュー記事目次】
・ThinkPad X1 Yoga 筺体外観・インターフェース
(4つのモードへ変形可能 / 外観・インターフェース / キーボードの操作性 / 底面の構造 / 液晶 / 重量 / 主な付属品)
・有機EL(OLED)モデルを販売
(ThinkPad X1 Yogaで選択できる有機ELモデルについて)
・構成特徴とベンチマークテストの結果
(構成と特徴 / ベンチマーク結果 / 消費電力・温度 / 再起動時間 / バッテリ駆動時間)
・ThinkPad Pen Proが付属
(ThinkPad Pen Proを利用可能 その使用感は?)
・製品のまとめ
(ThinkPad X1 Yoga まとめ)
※掲載製品は メーカー様よりお貸出しいただいたものとなります。
ThinkPad X1 Yoga 構成内容とその特徴について
まず、掲載している ThinkPad X1 Yogaの構成内容とその特徴について解説します。
【CPU-Z】
【ThinkPad X1 Yoga の主な構成】
OS Windows 10 Home 64bit
プロセッサ Core i7-6500U (2.5GHz/TB時最大3.1GHz)
グラフィックス インテル HD グラフィックス 520
メモリ 8GB(LPDDR3 SDRAM/オンボード/最大16GB)
ストレージ 256GB SSD(SAMSUNG製/PCIe-NVMe)
ディスプレイ 14.0型WQHD(2560×1440)、IPS、10点マルチタッチ
無線機能 インテル Dual Band Wireless-AC 8260(802.11ac/2×2) + Bluetooth 4.1
センサー類 ジャイロセンサー、デジタルコンパス、光センサー、加速度センサー、近接センサー
指紋センサー あり
バッテリ 4セル、52Wh (約9.8時間/実測値は後の項に掲載)
電源アダプター 45W
ペン ThinkPad Pen Pro-3
サイズ 333×229×15.3-16.8(幅×奥行き×高さ/mm)
重量 約1.36kg(標準構成時)
保証 1年間 引き取り修理
※記事に記載の仕様や解説等は、記事を作成した2016年07月12日時点の情報に基づくものです。
主にWindows 10、14.0型WQHDタッチパネル、Core i7-6500U、メモリ8GB、256GB SSD(PCIe-NVMe)という構成のモデルです。
最上位構成というわけではありませんが、ThinkPad X1 Yogaで提供されている構成の中でも特にハイスペックな構成内容となっています。
上記以外の選択肢に関しては、CPUは第6世代のCore i5も選択でき、メモリは最大16GBまで、液晶に関してはWQHDの解像度を選択できるほか、じきに有機ELのパネルの選択肢も提供されるようになるでしょう。SSDは、若干価格の安いSATA規格のモデルも選択可能です。
WiGig対応の選択肢も提供されていますので、WiGigドックなどの周辺機器を利用したいという方は必ず選択するようにしましょう。
後日追記:WiGigドックを使用しました →ThinkPad WiGig ドックの使用感は?
加えて 2,048段階の筆圧検知に対応するThinkPad Pen Pro-3が付属していますので、仕事などで手書き入力を多用される方はもちろん、ちょっとしたイラスト制作などを行う方にもおすすめ。
総合的にみると拡張性は高くはないもの、様々なオプションが提供されており高機能だという印象を受けるマシンです。
搭載されているストレージの内容をチェックします。
搭載されているSSD
ディスクの内訳
ストレージにはSamsung製の「MZVPV256」という256GB SSDが搭載されていました。
NVMe規格の非常に高速なストレージです。
本製品ではSATA規格のSSDの他、NVMe SSDに関しては最大で1TBもの容量を選択できるようになるなど、選択肢の幅が広いです。
同じSSDでもSATAとNVMeとでは天と地ほどの速度の差がありますので、予算に余裕がないというのならばともかく、そうでないのならNVMe SSDの選択がお勧めです。
ベンチマークテストの結果
以下、ThinkPad X1 Yogaで行ったベンチマークテストの結果です。
【CrystalDiskMark】
Ver.5を使用
【3DMark】
各テストの結果
【ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族】
標準品質 1280×720、1920×1080/ Windowsモードで実行
【FINAL FANTASY XIV 蒼天のイシュガルド】
上から1280×720、1920×1080/ DirectX 9、標準品質(ノートPC)
【CINEBENCH R15】
CPU内蔵グラフィックスの構成であるため、グラフィック性能は決して高いとは言えないものの、ビジネス用途のノートとしては十分に高性能です。
特にSSDが高速です。
本製品はストレージを複数台搭載する事ができず、しかもSSDのみの選択肢となっていますが、今のSSDはひと昔前のSSDに比ベると容量当たりの価格が非常に安くなっており、容量の大きいモデルを選びやすいです。
1ストレージでも困る事はないでしょう。
消費電力・温度
ThinkPad X1 Yogaの消費電力を測定
以下はアイドル時とベンチマーク実行時(3DMark)の消費電力測定結果です。
画面の輝度は50%に設定。
アイドル時 ・・・ 7W
ベンチマーク実行時 ・・・ 31W
※実際の値は若干上下する為、平均と思われる値を掲載しています
アイドル時、高負荷時ともに低消費電力です。
さらに、高負荷時のキーボード表面の温度を測定してみました。
キーボード中央付近が少し熱くなりやすいですが、キー入力時に触れるのは指先のみであるため、あまり気になりません。
ちなみに、高負荷時の底面温度は大体45~48度前後でした。
本製品はインテリジェントクーリング機能に対応しているため、膝の上に置いて作業を行うような場合でも、まずまず快適に作業が行えると思います。
再起動(起動&シャットダウン)にかかる時間
PassMark Rebooterを利用し、ThinkPad X1 Yogaの再起動にかかる時間を測定。
以下は10回の再起動時間と、その平均値です。
1回目 0:51
2回目 0:47
3回目 0:51
4回目 0:48
5回目 0:48
6回目 0:48
7回目 0:51
8回目 0:47
9回目 0:49
10回目 0:52
再起動(起動&シャットダウン)の平均時間 ・・・ 49秒
ThinkPad X1 Yogaの再起動にかかる時間はおよそ49秒。
SSDを搭載しているため、短い時間で起動やシャットダウンが行えます。
バッテリ駆動時間
ThinkPad X1 Yogaのバッテリ駆動時間を測定。
駆動時間測定のソフトウェアはbbenchを使用、設定内容はストロークの実行が10秒毎に、ワイヤレスLANによるネットへのアクセス(ブラウザで新規ページを開く)は60秒毎に実行されるという内容です。
液晶の輝度は50%に設定しています。
バッテリの電力が100%から5%に減少するまでの時間は32967秒。
約9(9.1575)時間ものバッテリ駆動が可能という結果です。
かなり軽めの作業を行った場合の駆動時間であるため、作業内容によってはもう少し短くなる可能性はありますが、比較的バッテリの持ちは良いと言えます。
モバイルノートとしては使いやすい製品です。
56Whのバッテリを内蔵 (バッテリの状態についてはLenovo Settingより閲覧できます)
ThinkPad Pen Proを利用可能 その使用感は?
ThinkPad X1 Yogaには ThinkPad Pen Pro-3が付属しており、プリインストールされている「WRITEit」というアプリを利用し、ビジネス上の資料に手書きでコメントや図を入力したり、簡単なイラストを描いたりする事ができるようになっています。
ペンは2,048段階の筆圧検知に対応しているため、自然な書き心地での入力が可能です。
加えて X1 Yoga本体にはペンの充電も行えるペンスロットが備えられているため、ペンの持ち運びや充電が容易。
PCでペンを利用される方には非常に使いやすい仕様となっています。
ThinkPad X1 Yogaの左側面にあるThinkPad Pen Pro-3にペンを収納し、持ち歩く事ができます。
ペン側面にはボタンを搭載。
消しゴムやクリックなどの機能を利用出来ます。
機能は、専用のアプリケーションで調整や設定が可能です。
X1 Yogaのペンスロット収納時は、PC本体よりペンの充電が行える
ThinkPad Penの電源状況については、PC本体に搭載されているツールより確認が可能です。
記載の内容によると、ペンを本体に挿入してから15秒以内に容量の80%まで、5分以内にフル容量までペンの充電が行えるのだとか。
バッテリ容量の小さいものだとは言え、非常に高速です。
電池を交換せずに済む所も便利です。
ペンの電池状況が分かるツールとは別に、ワコムペン用のアプリケーションも用意されています。
簡単に触っただけであるため、全てを把握できてはいないのですが、様々な機能が搭載されているようです。
上記アプリとは別に、本製品にはレノボ独自の「WRITEit」というアプリケーションが搭載されており、利用する事によって、様々なアプリケーションの画面上でペン入力を行う事が可能となります。
通常だとペン入力が行えないアプリの画面であっても、このWRITEitを利用すればペンによる直接入力が可能です。、
デスクトップ画面やPDFなど、どこにでも手書き入力できます
このアプリでイラストは簡単なものくらいなら・・と言った感じでしょうか。
本格的なイラストや絵画となると、私自身はちゃんとしたソフトウェアを利用しなくては難しいですが、画面が大きめである事と性能が高いため、そういったソフトウェアでも動作に引っかかりなどが出ることなく快適に利用できるのではと思います。
ペン自体も繊細なタッチで描きやすいです。
ThinkPad X1 Yoga まとめ
ThinkPad X1 Yogaのレビューは以上となります。
最後にまとめると・・
・360度回転が可能な14型の2in1ビジネスノート
・14型サイズながら薄型・軽量を実現、かつ堅牢性に優れている
・フルHD IPSタッチパネル、WQHD IPSタッチパネル、後には有機ELのパネルも選択可能
・インテルの第6世代Coreプロセッサー(Core i5、Core i7)や、DDR4メモリを最大16GBまで選択可能
・SATA SSD、もしくはNVMe SSDを選択できる
・本体のペンスロットより充電が行え、2048段階の筆圧検知に対応するThinkPad Pen Pro-3が付属
・長時間のバッテリ駆動が可能
ディスプレイが360度回転する構造を持つ、14型サイズの薄型軽量2in1ノートです。
ノートPCをはじめ、テントやスタンド、タブレットなど状況に応じてフレキシブルにモードを変更する事ができます。
例えばキーボードによる入力作業時にはノートで、コンテンツの閲覧やペン入力による作業時にはテントやスタンド、タブレットでといった具合に、最も使いやすいスタイルで作業を行う事が可能となったマシンです。
本体で充電が行え、2048段階の筆圧検知に対応するThinkPad Pen Pro-3も付属しており、2in1の構造を存分に活用できるでしょう。特に、PCでペンを利用したいという方にはとても使いやすい製品だと思います。
性能面に関しては第6世代のCore i5やi7の選択肢や、ストレージはSSDを標準搭載であるなど、ビジネス用途には十分すぎる構成内容が提供されています。
また液晶には実用的なフルHDタッチパネル、高精細さが美しいWQHDタッチパネルに加え、後には有機ELのパネルも追加予定となるなど選択肢の幅が広いです。
バッテリの持ちが良い点も魅力です。
より軽い14型ノートが欲しい方や 2in1の構造が不要だという方には、良く似た構成を持つ ThinkPad X1 Carbonのような製品の方が適しているのかもしれませんが、様々な用途にPCを利用する方、またペンを使いたいという方には ThinkPad X1 Yogaの方が使いやすくおすすめです。
現在、米沢生産モデルも選択可能です。