Dell Latitude 12 7000(7275)シリーズレビュー 着脱できる12.5型フルHDのビジネス向け2in1ノート
デルが販売する2in1ノート、Latitude 12 7000(7275)シリーズのレビューです。
Latitude 12 7000(7275)は、12.5型フルHDのタブレットと着脱式のキーボードからなるビジネス向けの2in1ノート。
必要に応じてノートPCとしてもタブレットとしても利用できるフレキシブルな製品です。
プロセッサには第6世代のCore m3や Core m5を搭載するなど省電力、かつタブレットとしては高性能な部類の製品で、マグネシウム合金を使用した筐体や、液晶面にはゴリラガラスが採用されるなど、耐久性に優れたビジネスモデルならではの作りとなっています。
少し前に、12.5型のXPS 12という2in1をご紹介しましたが、構成やポートなどはそちらとほぼ似た内容の製品だと考えて良いでしょう。
ただし今回のモデルには、掲載のXPS 12に付属していたキーボードとは異なる「プレミアフォリオキーボード」なるものが付属しており、使い勝手がやや異なります。
今回は、そんな Latitude 12 7000(7275)の外観や使用感、性能面について詳しくご紹介したいと思います。
【Latitude 12 7000(7275)シリーズ レビュー記事目次】
・Latitude 12 7000(7275)シリーズ 外観やインターフェース・操作性
(タブレットの外観 / キーボードの外観・操作性 / フォリオケースの詳細 / 重量 / 液晶 / 付属品)
・構成内容と特徴・ベンチマークテストの結果
(構成と特徴 / ベンチマーク結果 / 消費電力・温度 / 再起動時間 / バッテリ駆動時間)
・製品レビューのまとめ
(Latitude 12 7000(7275)シリーズ まとめ)
※掲載製品は メーカー様よりお貸出しいただいたものとなります。
Latitude 12 7000(7275)シリーズ タブレットの外観・インターフェース
まず、Latitude 12 7000(7275)のタブレット側の外観や端子の内容などを確認したいと思います。
サイズは幅291mm、奥行き193mm、厚みが8.1mmとかなり薄く、重量も0.76kgと余裕で持ち歩ける重さであるなど、扱いやすいタブレットです。
ボディにはマグネシウム合金が採用されており、堅牢性に優れています。
背面カバーは若干柔らかい質感ではあるものの、見た目にも頑丈そうなタブレットだと感じます。
マットでサラサラとした素材であるため、指紋などの汚れも目立ち難いです。
端の方にアウトカメラを内蔵。
液晶面側をチェックします。
12.5型サイズでフルHDのIPSパネルを搭載しています。
XPS 12の方には4Kパネルが採用されていましたが、本モデルはフルHDのみと実用性を重視した液晶の解像度です。
液晶上下にはタッチ式のWindowsボタンや、インカメラを内蔵。
液晶表面が頑丈なゴリラガラスで覆われているため、安心して利用できます。
タブレット側面の端子の内容を確認します。
左側面の様子です。(液晶側から見て)
ボリュームコントロールボタンやMicro SDスロット、USB Type-C端子が2基、オーディオジャックが並びます。
2基あるUSB Type-Cのうち、1基は電源コネクターも兼ねています。
右側面にはセキュリティ用のスロットと、電源ボタンが配置されています。
タブレット上部には何もなく、下部にはキーボードとドッキングするためのコネクターが配置されています。
見る限り、インターフェースはXPS 12と全く同じようです。
プレミアフォリオキーボードの外観・操作性
次に、掲載のLatitude 12 7000(7275)に付属していたプレミアフォリオキーボードをチェックします。
本製品にはもう一つ、キックスタンド搭載のケースと一体となったスリムフォリオキーボード(参考: XPS 12のスリムフォリオキーボード)が提供されていますが、今回のプレミアフォリオキーボードは、ケースとは一体となっておらず、キックスタンドも搭載しません。
アイソレーションタイプのキーボードです。
よくあるモバイルタイプのキーボードとは質感が異なっており、キーボード周りにはタブレット背面に使われているような手触りの良い頑丈な素材が用いられているようです。重量感があり、設置時の安定性が高いです。
キーボード右側のBackspaceやEnterの幅が極端に狭い点のみ、慣れるまでは使いにくいかもしれませんが、全体としては、キーストロークに深さがあって打ちやすいと思います。
キートップは僅かに湾曲した形状。
指先を置きやすく、またフィット感があります。
白色のバックライトを内蔵。
タッチパッドはボタン一体型。
使いやすいとまでは言えないものの、このタイプのキーボードのタッチパッドとしては悪くない使い心地です。
クリックの感触などもしっかりとしており、違和感なく使えます。
キーボード底面の様子です。
キーボードを側面側から。
底面後部に高さがついており、キーボード面が傾斜するスタイルになっています。
タブレットとキーボードはマグネットで装着します。
タブレットを装着。
キーボードの溝にタブレットをはめ込むスタイルであるため、角度調整は不可。
液晶面の角度は120度程度と、一般的なノートPCに比べるとかなり急です。
屋内のライトなどが映り込み難い角度ではありますが、角度調整ができないのは不便です。
キーボードとタブレットは、ノートPCのように閉じてしまう事ができます。
キーボードの形状上、タブレットをキーボード面に倒すとコネクター部の接続は外れるようになっています。
キーボードとタブレットはマグネットで固定されるため、上記のような状態で持ちあげたりカバンに入れたりしても、バラバラになりません。
プレミア・マグネティック・フォリオケースの詳細
プレミアフォリオキーボードに付属しているフォリオケースをご紹介します。
タブレットやキーボードの外装を保護するための、ブックカバースタイルのケースです。
フォリオケースの外側。
厚手の生地のような素材で作られており、カジュアルな雰囲気です。
ケースの内側には、ラバー調の素材が用いられています。
合体したタブレット&キーボードに装着したところ。
マグネットで固定されるようになっています。
ケースの横に見えるタグは、オプションのスタイラスペンを固定するためのものです。
背面から見た図。
ややケースの下部がタブついており、もしかするとこれで角度調整できるのでは?と最初は思ったのですが、タブレットはキーボードのコネクター部の溝にはめ込まれた状態であるため、タブレットの角度を少しでも変えるとキーボードとの接続が外れてしまいます。
デルの製品ページで確認した所では、「あらゆる角度に調整できる」とあったのですが、上記の理由より角度調整はできないと考えた方が良いようです。
利用するユーザーにもよるのでしょうけれど、私自身はディスプレイの角度調整が全くできないのは使い勝手が悪いと感じる為、キックスタンド付きのカバーが付いた「スリムフォリオキーボード」の方を選びたいです。ただしキーボードの操作性は、今回のプレミアフォリオキーボードの方が良いと感じます。
ちなみに、製品ページでは「スリムフォリオキーボード」がデフォルトの選択となっています。
重量
Latitude 12 7000(7275)のタブレットとキーボードの重量を測定してみました。
タブレットの重量は700g。
0.76 kgという公称の値よりも少し軽い位です。
続いて、プレミアフォリオキーボードとケースの重さです。
キーボートどケースを合わせた重さは788g。
タブレットと合わせると1488gと、やや重くなります。
モバイルノートとしては許容範囲ですが、少し重いかもしれません。
電源アダプターやケーブルの重量は229gと軽めです。
液晶
掲載している、Latitude 12 7000(7275)の液晶をチェックします。
12.5型フルHD(1920×1080)のタッチパネルを搭載しています。
初期状態での画面のスケーリング設定は125%と、やや拡大表示されていました。
XPS 12の4Kパネルは高精細で非常に美しかったですが、実用性はフルHDパネルの方が上だと感じます。特に本製品はビジネスモデルですので、高解像度とはいってもフルHD程度が無難だと思います。
このフルHDパネルは4Kパネル程の繊細な表示ではないものの、発色よく表示は美しいです。表面にはゴリラガラスが用いられており、耐久性などの面で安心して利用する事ができます。
IPS方式のパネルが採用されているため、視野角は広いです。
どの角度からみても色度変移はほとんど感じられず、内容をはっきりと読みとる事ができます。
付属品
付属品をご紹介します。
掲載品は、必ずしも製品に標準で付属するものだとは限りませんので、参考程度にご覧ください。
PC本体と付属の電源アダプター&ケーブルです。
30Wの電源アダプターが付属していました。
コネクターの形状が、USB Type-C用となったアダプターです。
こちらは変換ケーブル。
USB Type-C端子を、USB Aに変換するためのものです。
この変換ケーブルを利用する事で、現在一般的なUSB端子を持つ周辺機器を接続できるようになります。
まだ取り扱いが無いようですが、2016年に発売予定となっているDell ドック WD15を利用すれば、大幅に環境を拡張する事が可能です。
Latitude 12 7000(7275)シリーズ 構成内容と特徴
掲載しているLatitude 12 7000(7275)シリーズの構成内容と、その特徴について解説します。
【CPU-Z】
【Latitude 12 7000 Series 2-in-1 プレミアムモデル(ハイエンド) の主な構成】
OS Windows 8.1 64bit
プロセッサ Core m5-6Y57 (1.1GHz/TB時最大2.8GHz)
グラフィックス インテル HD グラフィックス 515
メモリ 8GB(オンボード/LPDDR3 1600MHz)
ストレージ 256GB M.2 SSD(SAMSUNG製/M2 2280/SATA3)
ディスプレイ 12.5型 フルHD(1920×1080/IPS)、タッチ、光沢
無線機能 Intel Dual Band Wireless-AC 8260 + Bluetooth 4.0
バッテリ 30WHr (実測値は後の項に掲載)
電源アダプター 30W
サイズ 291×193×17.1(幅×奥行き×高さ/mm/キーボード接続時)
重量 約 0.76kg(タブレットのみ)
保証 プロサポート: 3年間翌営業日対応オンサイト保守サービス(6営業日9-17時)
※記事に記載の仕様や解説等は、記事を作成した2016年03月16日時点の情報に基づくものです。
Windows 8.1、Core m5-6Y57、メモリ8GB、256GB SSDを搭載する上位のプレミアムモデルの構成です。
2016年3月16日時点では他に、Core m3-6Y30やメモリ4GB、128GB SSDを搭載する下位モデルが提供されています。
内容はXPS 12と非常に似ているのですが、OSがWindows 8.1標準となっており、液晶の解像度はフルHD、また保証も標準で3年間と期間が長く設けられるなど、個人向けの製品とは異なる内容となっています。
タブレットとしては非常にハイスペックな内容であり、ストレージの容量にもかなり余裕があるなど、ノートPCと変わらない感覚で利用できるでしょう。
搭載されているストレージの内容をチェックします。
搭載されているSSD
ディスクの内訳
ストレージにはSAMSUNG製の、PM871という256GB M.2 SSDが搭載されていました。
容量に余裕があるだけではなく、非常に高速なモデルです。
タブレットに搭載されるストレージの内容としては、申し分ないと言えるでしょう。
ベンチマークテストの結果
以下、掲載しているLatitude 12 7000(7275)で実施したベンチマークテストの結果です。
【CrystalDiskMark】
Ver.5を使用
【3DMark】
各テストの結果
Fire Strikeの詳細
【BIOHAZARD 6】
1280×720 / 1980×1080
【FINAL FANTASY XIV 蒼天のイシュガルド】
上から1280×720、1980×1080、DirectX 9、標準品質(ノートPC)で実行
【ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族】
1280×720、1980×1080 / 低品質、Windowsモードで実行
【CINEBENCH】
負荷の高いゲームがプレイできるほどのパフォーマンスではありませんが、軽い3Dゲームを低負荷でプレイする程度の性能は持ちあわせています。
ストレージも高速であり、重い作業をさほど行わないビジネス用のタブレットとしては不足ない性能だと言えるでしょう。
消費電力・温度
Latitude 12 7000(7275)の消費電力を測定。
以下はアイドル時とベンチマーク実行時(BIOHAZARD 6)の消費電力値です。
アイドル時 ・・・ 8W
ベンチマーク実行時 ・・・ 18W
※実際の値は若干上下する為、平均と思われる値を掲載しています
低消費電力です。
ほぼ同じ構成で4K液晶を搭載するXPS 12と比較すると、フルHDパネルを搭載する Latitude 12 7000(7275)の方がやや消費電力が低いです
続いて、Latitude 12 7000(7275)のパーツ温度を測定。
以下はアイドル時、ベンチマーク実行時(BIOHAZARD 6を20分以上実行)のパーツ温度です。
高負荷な状態が続くと、CPUの温度が高めになります。
さらに、高負荷時のキーボード表面の温度を測定してみました。
タブレットを液晶側から見て、左上付近の温度がやや高くなりやすいようです。
手で持って利用する場合、やや温かく感じられると思いますが、不快に感じるほどではありません。
再起動(起動&シャットダウン)にかかる時間
PassMark Rebooterを利用し、Latitude 12 7000(7275)の再起動にかかる時間を測定。
以下は10回の再起動時間と、その平均値です。
1回目 0:49
2回目 0:44
3回目 0:47
4回目 0:43
5回目 0:43
6回目 0:43
7回目 0:43
8回目 0:43
9回目 0:43
10回目 0:43
再起動(起動&シャットダウン)の平均時間 ・・・ 44秒
Latitude 12 7000(7275)の再起動にかかる時間は、およそ44秒。
SSDを搭載するノートPCと比較しても、非常に高速です。
バッテリ駆動時間
Latitude 12 7000(7275)のバッテリ駆動時間を測定。
ソフトウェアにはbbenchを使用、設定内容はストロークの実行が10秒毎に、無線LANによるインターネットへのアクセス(ブラウザで新規ページを開く)が60秒毎に実行されるという内容です。
キーボードには接続した状態でバックライトはオフ、液晶の輝度は50%に設定しています。
バッテリの電力が100%から3%に減少するまでの時間は16468秒。
約4.6(4.57444444…)時間ものバッテリ駆動が可能という結果です。
タブレットにしてはややバッテリ駆動時間は短めです。
性能が高く快適に利用出来る分、バッテリの持ちは悪くなるようですが、電源のない場所で長時間利用する事があるというのではない限り、問題はないでしょう。
外出時に頻繁にPCを利用される方で、かつ利用時間が長いという方には利用は向かないかもしれません。
Latitude 12 7000(7275)シリーズ まとめ
Latitude 12 7000(7275)シリーズのレビューは以上となります。
最後にまとめると・・
・12.5型フルHDのIPSタッチパネルを搭載 表面にはゴリラガラスを採用
・状況に応じてタブレットやノートPCなど、様々なスタイルを使い分ける事ができる
・下位はCore m3、上位にはCore m5 6Y57が搭載されており、タブレットの割にパワーがある
・ストレージにはSSDを搭載しており高速
・USB Type-C端子を2基搭載
12.5型フルHDのタッチパネルを採用する、着脱型の2in1ノートPCです。
軽量化したい場合にはタブレットスタイルに、入力中心の作業時にはノートPCスタイル・・といった具合に、状況に応じてフレキシブルな使い方ができる製品です。
プロセッサには インテル第6世代のCore m3やCore m5を、メモリは4GB~8GBと容量が大きく、ストレージも128GB~256GB SSDを搭載するなど、タブレットと言うよりはノートPCよりのパフォーマンスを持ちあわせているため、性能不足などを感じる事なく快適に作業が行えます。
USB Type-C端子を2基搭載しており、オプションの周辺機器を持ちいる事によって拡張性を大幅にアップさせる事ができる点も、本製品の大きな魅力です。
バッテリ駆動時間がやや短い点は、ユーザーによっては検討が必要ですが、そこさえ気にならなければとても使い勝手の良い製品だと言えるでしょう。
なお、今回の製品にはキックスタンドを搭載しない「プレミアフォリオキーボード」が付属していましたが、個人的には、キックスタンドが付いた「スリムフォリオキーボード」の方が使い勝手は良かったです。
ただし、キーボード自体の操作性は「プレミアフォリオキーボード」の方が上だと感じます。