ideapad MIIX 700 レビュー 2モードで使える!キックスタンド付きのCore M搭載 12型タブレット
レノボが販売するタブレット、ideapad MIIX 700 のレビューです。
ideapad MIIX 700 は、背面にキックスタンドを備えた12型フルHD+のWindowsタブレット。
専用のフォリオキーボードが標準付属しており、タブレットやノートといった2スタイルでの利用が可能な製品です。
12型のタブレットというとサイズ的に使いにくい印象がありますが、背面のスタンドによって長時間の映画鑑賞なども快適に行えること、またキーボードを装着すれば入力も楽に行えるなど、タブレットの弱点だと思われる部分を省き、使いやすさを追求したマシンです。
構成には主に、省電力で性能の高い第6世代のCore Mプロセッサや、ストレージには容量の大きいSSDを採用する事により、バッテリの持ちを考慮しつつも高いパフォーマンスを発揮できるような内容となっており、どちらかというとノートPCの購入を検討されている方に向くタブレットだと言えるでしょう。
筐体の質感も高く、所有による満足感は大きいです。
今回は、そんなideapad MIIX 700の外観や特徴、使用感、性能面などについて詳しく触れてみたいと思います。
【ideapad MIIX 700 レビュー記事目次】
・ideapad MIIX 700 タブレットとフォリオキーボードの外観・操作性
(タブレットの外観 / フォリオキーボードの外観・操作性 / 合体時の様子 / 液晶 / 重量)
・ideapad MIIX 700の構成特徴・ベンチマークテストの結果
(構成と特徴 / ベンチマーク結果 / 消費電力・温度 / 再起動時間 / バッテリ駆動時間)
・製品レビューのまとめ
(ideapad MIIX 700 まとめ)
※掲載製品は メーカー様よりお貸出しいただいたものとなります。
ideapad MIIX 700 スタンド付きタブレットの外観・インターフェース
まず、ideapad MIIX 700のタブレットの外観やインターフェースをチェックします。
12型とかなり大きめのWindowsタブレットですが、タブレットのみだと厚みは9mm、重量は750gと薄く軽量。
とはいえ、このサイズのタブレットを手で持って利用するには辛いものがありますが、背面にキックスタンドをそなえているため、机の上などに設置したまま画面を閲覧する事ができるなど、使い勝手は悪くありません。
タブレット背面の様子。
写真はエボニーブラックカラーのモデルです。
本製品にはエボニーブラックとシャンパンゴールドという2色のモデルが提供されていますが、Webモデルはエボニーブラックのみ。
ブラックといっても色々ありますが、ThinkPadのような落ち着いたブラックカラーと質感を持つ背面パネルです。
背面パネルにはLenovoとideapadのロゴを配置。
500万画素の背面カメラを内蔵しています。
LEDによるフラッシュライト付き。
背面パネルの左右には、キックスタンドのヒンジ。
腕時計のバンドのようなデザインである事から、ウォッチバンドヒンジと呼ばれるようです。
キックスタンドは180度とまではいかないものの、かなりの角度まで開く事ができるようになっています。
無段階で好みの角度にスタンドを調整できるため、とても便利です。
スタンドの内側にはmicroSDメディアカードリーダー。
液晶側です。
12型でフルHD+(2160×1440)という高解像度タッチ液晶を採用しています。
光沢パネルであるため、明るい場所ではやや使いにくいのですが、デザイン的には綺麗です。
フロント側にも背面と同じ、500万画素のWebカメラを内蔵しています。
タブレット側面のインターフェースの内容を確認します。
本製品はフォリオキーボード側には何もなく、端子類の搭載はタブレット側のみとなります。
タブレット左側面(写真は液晶を上に向けて設置)の様子です。
電源コネクター&USB2.0の兼用端子や、スピーカーを配置しています。
タブレット右側面の様子。
左からスピーカー、USB3.0、MicroHDMI、音量調整ボタン、電源ボタンが並びます。
タブレット上部には、端の方にオーディオのコンボポートが搭載されています。
タブレット下部には、フォリオキーボードと接続するためのコネクターが配置されています。
USBは電源コネクターと兼用のUSB端子も含めると2基、そしてmicroではあるものの、カードスロットや映像出力端子も備えています。
とりあえず必要なものは搭載されているという感じで、一般的な環境であれば利用に不便を感じるような事はないと思います。
付属の電源アダプターとケーブル。
40Wの電源アダプターです。
プラグの形状がやや変わっています。
片側がはみ出してしまったような形となっています。
この電源アダプターのケーブルは、タブレットに搭載されているUSB2.0機能付きの電源コネクターに接続して利用します。本製品にはもう一つUSB端子が搭載されているため、差し間違える事がないように少し形状を変えているのだと思います。
ideapad MIIX 700 フォリオキーボードの外観・操作性
次に、専用のフォリオキーボードの外観や使い勝手をチェックします。
やや、キーストロークが浅目で打鍵時の底付き感が気になりはするものの、12型タブレットの液晶を覆うサイズのキーボードであるため、ピッチなどのサイズに余裕があり押しやすいです。
右側に一部、ピッチが狭いキーが存在するものの、Enter等の頻繁に利用するキーの幅は十分に確保されている事、また右下の矢印キーが独立した配置である所など、このタイプのキーボードとしては操作性は悪くないと思います。
なお、右下のHomeとEndの配置は、ideapadシリーズの製品では前からみられるものですが、慣れていない方にとってはしばらくの間は使い辛いかもしれません。
CtrlキーとFnの配置が、ThinkPadとは逆です。
ファンクションキーは、デフォルトで輝度や音量調整などの機能が動作するような仕様です。
いろいろ操作してみた限りでは、デフォルトのキーの機能を入れ替えるショートカット機能等は用意されていないようです。
見落としでなければですが、UEFIの設定でも、キーの設定を変えられそうな項目は見当たりませんでした。
キートップはフラットな形状。
タッチパッドはボタン一体型。
ボタンのクリック感は悪くないですが、使いやすいという程でもないでしょうか。
簡単な操作程度ならストレスを感じない使い心地です。
タブレットと接続するためのコネクター部。
タブレット側から給電を行います。マグネットで固定してるため、取り外しが簡単です。
キーボードの底面部。
レザー製で高級感ある仕上がりです。
角にはレノボのロゴ。
タブレットとキーボード合体時の様子
タブレットとキーボードを接続してみます。
接続部にマグネットが用いられており、コネクターを近づけるだけで接続ができます。
キーボードはタブレットを支えるような構造にはなっていないため、タブレットに搭載されているキックスタンドを利用してタブレットを支えます。
キックスタンドの開閉角度が大きいため、かなり深くにまでタブレットを寝かせる事が可能です。
若干ではありますが、キーボード面は角度を変える事ができます。
キーボード接続時のタブレット背面の様子。
金属性のしっかりとしたスタンドであるため、タッチパネルを操作したとしても簡単に角度が変わったりはしません。
ideapad MIIX 700を正面から見た図。
普通のノートPCと変わらないスタイル、使い心地です。
液晶の品質・見やすさをチェック
ideapad MIIX 700に採用されている液晶の品質、見やすさをチェックします。
実際の製品とは異なる可能性がある為、参考程度にご覧ください。
12型でフルHD+(2160×1440)という、解像度の高いIPSタッチパネルを採用しています。
デフォルトでは、画面のスケーリングは150%に設定されており、コンテンツはやや大きめに表示されている状態でした。
100%のスケーリング設定だと、今度は各コンテンツの表示が小さくなりすぎて少し使い辛いかもしれません。
光沢感がややきつく光の入る明るい場所では少し使い辛いものの、色が鮮やかで綺麗な液晶です。写真や映像等の閲覧も楽しめると思います。
スケーリング設定150%時のデスクトップ画面
スケーリング設定100%時のデスクトップ画面 1つ上の画像に比べるとかなり小さい表示
画面の視野角は広いです。
斜めから画面を見た場合でも、はっきりと内容を読み取ることができます。
以下、Spyder 4 Elite(カラーセンサー)による色域の測定結果です。
sRGBのカバー率は98%、AdobeRGBのカバー率は78%と、広色域です。
ガンマ応答カーブと補正カーブ
デフォルトでは僅かに黄味がかった色味はありますが、自然だと思える範囲内の色のずれです。
綺麗な液晶だと思います。
重量
ideapad MIIX 700の重量を測定してみました。
タブレットの重量は771g。
フォリオキーボードの重量は337g。
タブレットとあわせると1108g。大体1.1kgとなります。
12型のノートだと考えれば、やや軽いと思います。
電源アダプターやケーブルの重量は192g。
こちらもやや軽量です。
ideapad MIIX 700 掲載モデルの構成と特徴について
掲載しているideapad MIIX 700の構成内容と、その特徴について解説します。
【CPU-Z】
【ideapad MIIX 700 の主な構成】
OS Windows 10 Home 64bit
プロセッサ Core m5-6Y54 (1.10GHz/TB時最大2.70GHz)
グラフィックス インテル HDグラフィックス 515
メモリ 8GB(8GB×1/LPDDR3-1600/オンボード)
ストレージ 256GB SSD(Samsung製/SATA)
ディスプレイ 12.0型FHD+(2160×1440)、IPS、10点のタッチパネル
無線機能 インテル Dual Band Wireless-AC 8260 ac/a/b/g/n + Bluetooth 4.1
バッテリ 4セル(駆動時間:約7.7時間(JEITA2.0)/実測値は後に掲載)
電源アダプター 40W
サイズ 293×224×14.5mm(フォリオキーボード装着時/幅×奥行き×高さ/mm)
重量 タブレット単体:約750g、フォリオキーボード装着時:約1.08kg(仕様)
カラー エボニーブラック
保証 1年間 引き取り修理
※記事に記載の仕様や解説等は、記事を作成した2016年06月09日時点の情報に基づくものです。
主にWindows 10、Core m5-6Y5、メモリ8GB、256GB SSDを搭載するという構成の製品です。
本製品には Core m3とCore m5を搭載するモデルが提供されており、今回掲載のマシンは上位構成のモデルとなります。固定構成となっているため、各モデルをカスタマイズする事はできません。
Core m3を搭載するモデルに関しては、メモリは4GB、ストレージに関しては128GB SSDと256GB SSDを搭載するモデルが提供されています。
なお、フォリオキーボードはいずれのモデルにも標準付属されるものであり、キーボード無しの選択肢はありません。
搭載されているストレージの内容をチェックします。
搭載されているSSD
ディスクの内訳
Samsung製の「MZNLN256HCHP-000L2」という256GBのM.2 SSDが搭載されていました。
タブレットとしては高速なSSDであり、パフォーマンス面でノートに劣る事はないといった感じの使用感です。
Core m5搭載のモデルでは、ストレージの選択肢は256GB SSDのみとなります。
ちなみにディスクの管理画面では、多くのPCにみられるEFIシステムパーティション、回復パーティション、Cドライブの他に、「Lenovo」と名付けられたDドライブが作成されており、その中には何らかのアプリケーションや、各種のドライバーが入った状態となっていました。
ベンチマークテストの結果
以下、掲載しているideapad MIIX 700で実施したベンチマークテストの結果です。
【CrystalDiskMark】
Ver.5を使用
【3DMark】
各テストの結果
【FINAL FANTASY XIV 蒼天のイシュガルド】
上から1280×720、1920×1080/ DirectX 9、標準品質(ノートPC)
【ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族】
標準品質 1280×720、最高品質 1920×1080/ Windowsモードで実行
【Minecraft】
デフォルトの設定でもまずまず快適にプレイが可能
【CINEBENCH R15】
Atom系のタブレットと比較すると、CPUもグラフィック性能も高いです。
ゲームはブラウザゲーム等、かなり軽いもの限定となりますが、できなくはありません。
ネットや動画、文書の作成など日常的な用途や、さほど負荷のかからないビジネス作業程度なら快適に行えるでしょう。
消費電力・温度
ideapad MIIX 700の消費電力を測定。
以下はアイドル時とベンチマーク実行時(3DMark)の消費電力値です。
画面の輝度は50%に設定しています。
アイドル時 ・・・ 7W
ベンチマーク実行時 ・・・ 18W
※実際の値は若干上下する為、平均と思われる値を掲載しています
ベンチマーク実行時でも18Wと、かなり低消費電力です。
続いて、ideapad MIIX 700のパーツ温度を測定。
以下はアイドル時、ベンチマーク実行時(3DMarkを10分以上実行)のパーツ温度です。
高負荷な状態が続くとややCPUの温度が上昇しますが、標準的な範囲内です。
さらに、高負荷時のタブレット表面の温度を測定してみました。
写真では左側、タブレットを手で持った場合だと右側がやや熱くなりやすいようです。
ですが本製品はほぼノートPCスタイルか、机の上などに設置した状態で利用される事が多いのではと思われますので、あまり気にしなくても良いでしょう。
手で持って使用したとしても、触れない位熱いわけではありません。
再起動(起動&シャットダウン)にかかる時間
PassMark Rebooterを利用し、ideapad MIIX 700の再起動にかかる時間を測定。
以下は10回の再起動時間と、その平均値です。
1回目 0:42
2回目 0:37
3回目 0:40
4回目 0:38
5回目 0:42
6回目 0:37
7回目 0:38
8回目 0:37
9回目 0:38
10回目 0:44
再起動(起動&シャットダウン)の平均時間 ・・・ 39秒
ideapad MIIX 700の再起動にかかる時間は約39秒。
SSDを搭載しているため、非常に高速です。
バッテリ駆動時間
ideapad MIIX 700のバッテリ駆動時間を測定。
駆動時間測定にはbbenchを使用、ソフトの設定内容はキーストロークが10秒毎に実行、ワイヤレスLANによるネットへのアクセス(ブラウザで新規ページを開く)が60秒毎に実行されるという内容です。
液晶の輝度は50%に設定した状態で測定。
バッテリの電力が100%から5%に減少するまでの時間は33190秒。
約9.2(9.219444444…)時間ものバッテリ駆動が可能という結果です。
かなりバッテリの持ちは良いようです。
上記は軽めの作業でのバッテリ駆動時間であるため、キー入力の頻度やネット閲覧のペースを上げた使い方だともう少しバッテリの持ちは短くなると思われますが、それでもバッテリの電力残量を気にせず作業ができる位のバッテリ駆動時間を実現できると思います。
モバイル用のノート(タブレット)としては、使いやすい製品です。
約42Whの容量を持つバッテリが搭載されていました
ideapad MIIX 700 まとめ
ideapad MIIX 700のレビューは以上となります。
最後にまとめると・・
・12型フルHD+という高解像度なIPSタッチパネルを採用
・フォリオキーボードが標準付属
・場面に応じてタブレットやノートPCといったスタイルを使い分ける事ができる
・第6世代のCore m3やCore m5の構成が提供されており、省電力ながら性能が高い
・ストレージには128GB、256GBのSSDを採用しており、非常に高速
・バッテリの持ちが良い
・洗練された筐体デザイン
12型フルHD+のIPSタッチパネルを採用するタブレットです。
やや大きめの画面サイズを持つタブレットは重さがある為、タブレットとしては正直利用しやすいとは言えませんが、本製品は背面に無段階調整が可能なキックスタンドを備えているため、タブレットスタイル時でも自立させて利用する事が可能であるなど、使いやすい構造となっています。
加えて、本製品にはタブレット液晶面のカバーにもなるフォリオキーボードが標準付属しているため、ノートPCとしても利用する事が可能。
Atom搭載のタブレットだと用途が限られてきますが、本製品はCPUに高性能なCore Mを、またストレージにはタブレットにしては容量の大きいSSDを採用しているため、ノートPCとしての使い勝手やパフォーマンスも申し分ありません。
バッテリの持ちが良い点も、モバイルタイプのマシンとしては魅力的なポイントです。
ちなみにここまで一切触れずに来たのですが、キックスタンド付きのタブレットに着脱式のキーボード・・というと、多くの方がSurface(構成は若干異なりますが、Surface Pro 4辺りのモデル)を思い浮かべるのではと思います。
見る限り、その辺りのモデルを意識して作られたのではないかと考えてしまうのですが、Surfaceはキーボードが標準では付属しておらず、にも拘らずideapad MIIX 700と比較して価格が高めです。(大雑把にではありますが、クーポンを適用したideapad MIIX 700と比較した場合)
よりハイスペックなモデルを選択できるというメリットがSurfaceにはあるものの、そこまでの高性能マシンは必要がないという方や、手頃な価格でそこそこ高性能な2in1が欲しいと考えた場合に、ideapad MIIX 700が購入の選択肢に入ってくるのではないかと思われます。
ideapad MIIX 700の方が若干価格が安いとはいっても、デザインや使用感等で劣っていると思われる点は全くなく、構成内容が希望と合致するのなら決して悪くない選択です。