Diginnos DG-M01IW レビュー バッテリ内蔵! 文庫本サイズの超小型パソコン
ドスパラが販売する超小型PC、Diginnos DG-M01IWのレビューです。
NUCやスティックPCなど、次々とユニークな小型タイプのパソコンが登場しますが、今度は文庫本サイズのミニPC「Diginnos DG-M01IW」が登場しました。
構成内容は、スティックPCやWindowsタブレットなどと似たようなものですが、本製品はデスクトップ型のPCでありながらバッテリを内蔵しており、電源なしの環境でも長時間利用する事ができるようになっています。
非常に面白い製品だと思います。
工夫次第で変わった使い方もできそうですし、停電などのトラブルに対応できるという安心もあります。
価格も2万円を少し超える位ととてもリーズナブルであり、小型PCの購入を検討されている方にとって、スティックPCに並ぶ魅力を持つ製品だと思います。
今回は、そんなDG-M01IWの外観や性能、使い勝手について詳しく触れてみました。
【Diginnos DG-M01IW レビュー記事目次】
・Diginnos DG-M01IW 外観・インターフェース
(外観・インターフェース / サイズ・重量 / 主な付属品)
・構成特徴とベンチマークテストの実行結果
(構成と特徴 / ベンチマーク結果 / 消費電力・温度 / 再起動時間 / バッテリ駆動時間)
・搭載されているソフトウェアの内容
(プリインストール・ソフトウェアの内容)
・製品レビューのまとめ
(Diginnos DG-M01IW まとめ)
※掲載製品は メーカー様よりお貸出しいただいたものとなります。
Diginnos DG-M01IW 外観・インターフェース
まず、Diginnos DG-M01IWの外観の様子をインターフェースの内容を確認します。
デザインはブラック一色の筺体にDiginnosのロゴが入るのみと、非常にシンプルな外観。
頑丈そうな質感の高い素材で覆われており、安っぽく見えない所が良いです。
Diginnosのロゴ
使用時は、付属のスタンドに立てて利用します。
寝かせると熱を持ちやすいので、この状態での利用が望ましいそうです。
というより、この状態の方が設置しやすいと思います。
設置面積が小さいため、棚やデスクの上、テレビの横など置き場所を選びません。
筺体の上下には蜂の巣の様なデザインが施されている
フロント側の様子
フロント側にはUSB2.0端子が2基と、電源ボタン、電源の状態を示すインジケーターランプが並びます。
背面の様子
背面にはmicroSDカードスロット、microUSB2.0端子、MiniHDMI出力、ヘッドフォン出力、電源コネクターが搭載されています。
USB端子は microUSBも含めると全3基搭載されるなど、このサイズのPCにしては端子の内容は充実しており、一般的な作業ならUSBハブなどを使わなくても、本体に備えられているUSB端子のみで事足りそうです。
サイズ・重量
文庫本サイズ・・とタイトルにも記載していますが、その言葉通り、DG-M01IWの筺体は縦横のサイズも厚みも、文庫本とほぼ同じサイズを実現しています。
文庫本とほぼ同じサイズ
片手でも楽々持てるサイズ・重さ
重量は本体のみだと350g。
メーカーの仕様と全く同じ数値です。
もし、外出時に携帯する事があったとしても、カバンなどに入れて楽々持ち運べるサイズと重量で、出張や旅行時の携帯に便利だと思います。
主な付属品
主な付属品をご紹介します。
実際の製品とは内容が異なる可能性がありますので、参考程度にご覧ください。
上写真に載っているのは、説明書以外の付属品です。
左からUSB変換アダプター、HDMIケーブル、本体のスタンド、電源アダプターという内容です。
USB変換アダプターは、背面のmicroUSBをUSBへ変換するためのアダプターです。
電源アダプターは5V、2500mA(2.5A)。
コネクターに差し込むプラグが非常に細い為、乱暴に扱って折らないよう注意した方が良いかもしれません。
まあ、普通に扱っていればそのような事にはならないと思いますが・・
構成と特徴
次に、Diginnos DG-M01IWの構成内容と特徴について。
以下、掲載モデルの主な構成です。
【CPU-Z】
【Diginnos DG-M01IW の主な構成】
OS Windows 10 Home 32bit
プロセッサ Atom Z3735F (定格1.33GHz)
グラフィックス インテル HD グラフィックス
メモリ 2GB(DDR3L)
ストレージ 32GB eMMC(Hynix製)
無線機能 IEEE802.11 b/g/n、Bluetooth 4.0
バッテリ 内蔵
サイズ 116×152×15(幅×奥行き×高さ/mm)
重量 約350g
保証 1年間 持込修理保証
※掲載の価格や仕様・解説等は、記事を作成した2015年09月18日時点の内容です。
Windows 10、Atom Z3735F、メモリ2GB、32GB eMMCという構成内容のモデルです。
主要なパーツについては、現在主流のスティック型PCと同じような内容であり、軽めの用途に利用できる性能を持ち合わせています。
バッテリを内蔵しており、電源なしでも利用できるという点がこの製品の大きな特徴だと言えるでしょう。
基本的なパーツのカスタマイズは行えませんが、製品購入時に周辺機器を追加したり、保証のカスタマイズを行う事が可能です。
なお、WiFiはやや遅いように思います。
各メーカーのスティック型PCでもそのような傾向がありましたので、同じような製品の中で本製品だけが極端に遅いというわけではありませんが、無線LANルーターと本製品の位置関係によっては、速度が出ない事があるかもしれません。
とはいえ、大きなファイルをダウンロードするような場合には速度が気になるものの、ストリーミング再生等は問題ありませんでした。
その他の注意点としては、本製品でストリーミング再生を行っている最中などに、内蔵ストレージへ別のファイルのダウンロードを行ったり、Bluetooth接続でスピーカーを繋いだりすると、無線LANが切断されやすくなる現象が確認されているとの事。
これは本製品の問題ではなく、搭載されているCPUの設計上の問題であるために回避できません。
対策としては、ストリーミング再生中は上記の操作を行わないか、またはストリーミング再生中に別ファイルのダウンロードを行う場合は、USB端子を介して外付けのストレージにダウンロードを行うと良いでしょう。
USBタイプの無線LANアダプターを利用してのネット接続では、上記のような問題は起こらないため、そういった機器の利用もおすすめです。
ストレージの内容を詳しく確認します。
デバイスマネージャに表示されているストレージの内容
ディスクの内訳
Cドライブの残容量
ストレージにはHynix製の「Hynix HBG4e」という32GB eMMCが搭載されていました。
Cドライブに割り当てられている容量は28.41GBで、うち初期状態でユーザーが利用可能な容量は21GB弱と言う内容です。
容量に余裕があるとは言えませんが、microSDカードやUSBメモリ、外付けのストレージなども利用できますので、本製品の用途で困る事はあまりないと思います。
ベンチマークテストの結果
以下、Diginnos DG-M01IWで実施したベンチマークテストの結果です。
【CrystalDiskMark】
Seq 156.0 / 85.72
512K 37.56 / 12.82
4K 168.2 / 84.73
4K QD32 20.16 / 12.08
Ver.5で測定、いずれも数値は左がRead、右がWrite、テストデータはランダム
【3DMark】
Ice Storm・・・ 13967
Cloud Gate・・・ 1151
Sky Diver・・・ 442
Fire Strike・・・ 0
【FINAL FANTASY XIV】
【蒼天のイシュガルド DirectX 9で実行】
【蒼天のイシュガルド(DirectX 9)】
1280×720(標準品質/ノートPC) ・・・ SCORE:670 / 評価:動作困難
【ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族】
1280×720(低品質) ・・・ スコア:1482 / 評価:重い
【Minecraft】
Minecraft デフォルト設定では重い
処理優先にすればそこそこ滑らかに動作するなどプレイできない事はないですが、それでもコマ落ちが所々であるため、ゲーム時に酔いやすい方だと酔うかもしれません。
プレイ時、CPUの使用率は40~80%の間。
ゲームのプレイが行えるのは本当に軽いもののみですが、Webサイトや動画の閲覧は、それ単独なら快適に行えます。
もし、低価格帯のWindowsタブレットやスティックPCを使った事があるのなら、その使い勝手を想像していただくと本製品の性能がわかりやすいのではと思います。
ストレージにeMMCを利用しているため、HDDを搭載するような安価なPCなどよりもサクサクとした操作感であり、製品の価格を考慮するとコストパフォーマンスは非常に高いです。
消費電力・温度
Diginnos DG-M01IWの消費電力を測定してみました。
以下はアイドル時、ベンチマーク(3DMark)実行時の消費電力測定値です。
数値に液晶の消費電力は含みません。
アイドル時 ・・・ 3W
ベンチマーク実行時 ・・・ 3~10W
※実際の値は若干上下する為、平均と思われる値を掲載しています
アイドル時もベンチマークテスト実行時も、消費電力は低いです。
次に、Diginnos DG-M01IWの筐体内のパーツ温度を測定してみました。
以下はアイドル時、ベンチマーク実行時(3DMarkを10分以上実行)のパーツ温度です。
高い負荷が続くと、CPUの温度はやや高くなりやすいようです。
スティック型のPCと同程度でしょうか。
ただ実際の利用で、3Dゲーム系のベンチマークテスト実行時のような負荷をかけ続けて利用する事はないでしょうから、ここまで温度が上がる事はあまりないと思われます。
スタンドを使わず本体を寝かせて利用するなど、本体内部に熱がこもってしまうような様な使い方をしなければ問題はないでしょう。
再起動(起動&シャットダウン)にかかる時間
PassMark Rebooterを利用し、Diginnos DG-M01IWの再起動にかかる時間を測定。
以下は10回の再起動時間と、その平均値です。
1回目 1:08
2回目 1:06
3回目 0:58
4回目 1:07
5回目 1:06
6回目 1:07
7回目 0:57
8回目 1:07
9回目 1:06
10回目 1:05
再起動(起動&シャットダウン)の平均時間 ・・・ 1分04秒
Diginnos DG-M01IWの再起動にかかる時間は1分4秒。
HDDを搭載するPCでは再起動に1分~1分半程度かかるものが多く、本製品の再起動にかかる時間は、HDDを搭載するPCの中ではやや速いというくらいの速度です。
バッテリ駆動時間
Diginnos DG-M01IWのバッテリ駆動時間を測定してみました。
駆動時間の測定にはbbenchを使用、ソフトの設定はストロークの実行が10秒毎に、またワイヤレスLANによるWebサイトへのアクセス(ブラウザで新規ページを開く)が60秒毎に実行されるという内容です。
バッテリの電力残量が100%から6%に減少するまでの時間は41075秒。
約11.4(11.4097222…)時間ものバッテリ駆動が可能という結果です。
バッテリの持ちはかなり良いです。
本製品は液晶モニターの電力が別となっているため、同じような構成のタブレットなどと比較してさらにバッテリの持ちが良くなっているようです。
正直、最初は電源なしでちょっと使える位のものだろうと考えていましたので、これほどバッテリの持ちが良い事に少し驚いてしまいました。
なお本製品では、バッテリの電力残量が20%を切った時点から節電機能がオンになるような設定となっており、今回はそのデフォルト設定のまま測定しています。
節電機能機能をオフにするなど、設定の内容によってはもう少しバッテリ駆動できる時間が短くなると思われます。
プリインストール・ソフトウェアの内容
Diginnos DG-M01IWに搭載されているソフトウェアの内容を簡単にご紹介します。
購入時期や、カスタマイズ時に選択したオプションの内容によっては、以下とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
ほぼ、Windows 10標準のもののみというソフトの内容です。
それ以外に見当たるのはセキュリティソフトくらい。
ストレージの容量が極端に少ない製品ですので、余計なものは一切入れていないようです。
ちなみに、セキュリティソフトは「マカフィー・インターネットセキュリティ 12カ月版」が標準搭載されていました。定価だと5,500円もの価格となるソフトウェアですが、キャンペーンにより無償で提供されているようです。
大抵、標準搭載のセキュリティソフトは短期の体験版であることが多い事を思うと、本製品のような低価格な製品への無償搭載はかなりお得感が大きいです。
なお、初期時のデスクトップ画面には、「かんたんリカバリーマニュアル」というPDFへのショートカットアイコンが配置されていました。
「かんたんリカバリーマニュアル」はその名の通り、システムリカバリーを行う際の手順を掲載したマニュアルです。各OSごとに、リカバリーの仕方が詳しく載っていました。
リカバリーを行う際の参考にすると良いでしょう。
Diginnos DG-M01IW まとめ
Diginnos DG-M01IWのレビューは以上となります。
最後にまとめると・・
・重さ350g、文庫本サイズの超小型筐体を採用
・軽い作業なら快適に行えるパフォーマンス
・バッテリを内蔵しており長時間のバッテリ駆動が可能
・USB端子の数が多く使いやすい
文庫本サイズの超小型筐体を採用したミニサイズのPCです。
小型のパソコン自体はそれ程珍しくはなくなったものの、本製品はバッテリを内蔵するという斬新な特長を持ち合わせており、従来の小型PCでは行えない様々な使い方が可能となっています。
例えば、本製品の構成ならWebサイトや動画の閲覧、軽いゲーム、文書作成、プレゼンテーションなど、比較的軽めの用途に利用できますが、バッテリを内蔵している分そうでない小型PCに比べると利用場所に制限がなく、電源がとりにくい環境であっても利用できます。
突然の停電による電源断などのトラブルにも対応できるなど、利用時の安心感も大きいです。
同構成のスティック型PCやタブレットなどに比べるとUSB端子の数も多く、USBハブを使わず複数のUSB機器を接続できます。
同社が販売するスティック型のPCよりもほんの少し価格は高いですが、バッテリの内蔵に魅力を感じる方や、使い勝手を重視する方には本製品がおすすめです。