NEXTGEAR-MICRO am540 シリーズのレビュー Ryzen採用!コスパ抜群のGTX 1060搭載ゲームパソコンを使ってみる
マウスコンピューターが販売するデスクトップPC、NEXTGEAR-MICRO am540 シリーズのレビューです。
NEXTGEAR-MICRO am540 シリーズは、CPUにAMD Ryzenを採用するゲーミングデスクトップPC。
CPUにRyzen 5もしくはRyzen 7を、またグラフィックスにはGeForce GPUを搭載する複数のモデルをラインアップしたシリーズです。
Ryzenはマルチスレッド性能の高いCPUであり、そのRyzenを採用する本モデルはゲームプレイはもちろんですが、動画のエンコードや3D CAD、重い処理を並行して行うような環境に向いています。
どちらかというとゲームメインのPCというよりは、ゲームも含めて様々な作業を行う方に向いているといえるかもしれません。
今回掲載のモデルは、Ryzen 5 1600やGTX 1060(3GB)を搭載する「NEXTGEAR-MICRO am540SA2」という型番のマシンで、GTX 1060(3GB)を搭載しながら、10万(税別)を切る価格で販売されるなど、ハイパフォーマンスながらお値打ちな価格を実現しています。
というわけで以下、筐体の様子や実際の性能について詳しくみていきます。
【NEXTGEAR-MICRO am540 シリーズ レビュー記事目次】
・NEXTGEAR-MICRO am540 シリーズ 筺体外観や操作性をチェック
(筺体外観・インターフェース / 筺体内部の構造)
・構成内容と特徴・ベンチマークテストの結果
(構成と特徴 / ベンチマークテストの結果 / 消費電力 / 再起動時間)
・製品のまとめ
(NEXTGEAR-MICRO am540 シリーズ まとめ)
※掲載製品は メーカー様よりお貸出しいただいたものとなります。
NEXTGEAR-MICRO am540 シリーズ 筺体外観・インターフェース
NEXTGEAR-MICRO am540に採用されている、筐体の外観や特徴について解説します。
Micro-ATX対応のミニタワーを採用しています。
設置しやすいサイズであることに加え、ところどころにメッシュ加工のパネルが用いられるなど、冷却性に優れた筐体です。
小型ながら大型のグラフィックカードも搭載できること、またメンテナンスもしやすいなど、多くの方に扱いやすいと思います。
NEXTGEAR-MICROでは結構前から使われている筐体ですが、コンパクトでデザインも格好良く、個人的にも好みです。
フロントパネル最上部の様子です。
上部に空の5.25インチベイ、3.5インチベイが並び、その下部付近にはヘッドフォン出力、マイク入力、USB2.0×2基、USB3.0、電源ボタンやインジケーターランプが並びます。
筐体を机の上に置いても、下に設置してもアクセスしやすい端子類の配置です。
空のオープンベイに取り付けられているメッシュパネルは、簡単に取り外せます。
フロントパネル中央~下部の様子。
一面にメッシュ加工のパネルが採用されています。
中央のパネルは、PUSHボタンを押すだけで取り外せます。
下部のパネルも容易に取り外し可能です。
メッシュパネルの内側には、2基の大口径ファンを内蔵。
非常に風通しがよさそうな構造を採用しています。
フロントパネルの吸気口は埃の溜まりやすい部分ですが、簡単に取り外せるメッシュパネルのおかげで、メンテナンスがしやすい点が魅力です。
背面の様子です。
背面であるのにもかかわらず、一面にブラックカラーの塗装が施されており垢抜けた印象を受けます。
インターフェースの内容は、上からPS/2×2基、USB3.0×4基、USB3.1×2基、LAN、オーディオ端子×3基が並び、中央にはグラフィックカードに搭載されているDVI-DやDisplayPort×3基、HDMI端子が並びます。
電源コネクターは最下部です。
天面の様子です。
背面寄りの位置にメッシュ状のパネルが設けられています。
メッシュパネルの内部には、排気用のファンを内蔵。
パネルの手前にはIn Winのロゴが見えます。
ロゴがある理由は、このケースのベースとなるのがIn Win製のケースであるためです。
左右のサイドパネルの様子。
片側に、とても大きなメッシュ加工のパネルが設けられているのが見えます。
カスタマイズでは、上記のメッシュタイプのサイドパネルを、G-Tuneのロゴや G-Tuneちゃん(公式キャラクター)の絵柄が刻印されたクリアアクリルパネルへと変更できます。
メッシュタイプのサイドパネルの方が通気性は良さそうですが、クリアアクリルパネルにも通気口は設けられているため、大幅に通気性が低下する事はありません。
内部の様子がパネル越しにみえるなど、ゲーミングPCらしいデザインや演出を好まれる方におすすめのパネルオプションです。
筺体内部の構造をチェック
次に、NEXTGEAR-MICRO am540シリーズの筐体内部の構造をチェックします。
サイドパネルを取り外すには、背面にあるネジを緩めるためのドライバーが必要です。
背面内部全体の様子。
右上から時計回りに5.25インチオープンベイ、3.5インチオープンベイが並び、スペースを空けて3.5インチシャドウベイ×3基(1基は2.5インチベイと共用)、電源ユニット、グラフィックカード、CPUやメモリが配置されるという構造です。
フロント側のベイが大幅に削られているため、風通しが良さそうです。
ベイを削ることで大型のグラフィックカードの搭載が可能となるとともに、吸気した空気の流れを遮るものがないため、発熱の大きいグラフィックカードやCPUなどのパーツを効率的に冷やせます。
フロント側上部には、光学ドライブやカードリーダー用のベイ。
光学ドライブやカードリーダーは基本構成では搭載されていませんが、オプションで追加できます。
フロント側下部に設置されている、ストレージベイ。
スペースの都合上、ストレージの抜き差しは内側からは行えません。フロントパネル側からアクセスするような構造となっています。
この辺が少し面倒ではあるのですが、ストレージの換装や追加を行う時以外 頻繁に触る箇所でもないと思うので、利用に大きな支障はないです。
CPU回りの様子。
CPUの右側にはメモリスロットが4基並びます。
今回のモデルには、AMDの Ryzen 5 1600というCPUが搭載されていますが、上位のCPUを選ぶことも可能です。
グラフィックカードにはGTX 1060(3GB)を搭載。
もちろん、その他のグラフィックカードを搭載したモデルも提供されています。
グラフィックカード下部。
電源は500W(80PLUS SILVER)。
カスタマイズではより容量の大きい電源も選べます。
NEXTGEAR-MICRO am540 構成内容とその特徴について
掲載しているNEXTGEAR-MICRO am540SA2の構成内容と、その特徴について解説します。
【CPU-Z】
【GPU-Z】
【NEXTGEAR-MICRO am540SA2 の主な構成】
OS Windows 10 Home 64bit
プロセッサ AMD Ryzen 5 1600(3.2GHz/TB時最大3.6GHz)
チップセット AMD B350 チップセット
グラフィックス NVIDIA Geforce GTX 1060(3GB)
メモリ 8GB(8GB×1/PC4-19200 DDR4/最大64GB)
ストレージ 1TB HDD(7200rpm/Seagate製)
光学ドライブ なし(追加可能)
拡張ベイ 5.25インチオープン×1、3.5インチオープン×1、3.5インチシャドウ×3(1基は2.5と共用)
拡張スロット PCI Express x16×1、PCI Express x1×2
電源 500W(80PLUS SILVER)
サイズ 196×430×417(幅×奥行き×高さ/mm)
重量 約9.7kg
キーボード・マウス 付属なし
保証 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート
※記事に記載の仕様や解説等は、記事を作成した2017年07月22日時点の情報に基付く内容となります。
Windows 10 Home、Ryzen 5 1600、GTX 1060(3GB)、8GBメモリ、1TB HDD、500W電源という構成内容のモデルです。
GTX 1060(3GB)の搭載でゲームに向く事はもちろんですが、Ryzen採用でCPU性能が高いため、本シリーズは写真・動画編集などにもおすすめ。掲載モデルはRyzen 5 1600を搭載していますが、確認した限りではRyzen 5 1600Xや、上位のRyzen 7シリーズも選択できるようです。
またグラフィックカードにおいては、記事作成時点ではGTX 1050(2GB)をはじめ、最大ではGTX 1080(8GB)を搭載したモデルが提供されるなど、幅広い構成の中から選択できるようになっています。
Ryzen CPU採用のモデルとインテルCPU採用のモデル、どちらを選ぼうか迷われる方もおられるのだと思いますが、今回のRyzen 5 1600は6コア12スレッド、その他のRyzenに関しても同クラスのインテルCPUに比べるとコア数が多く、マルチスレッド性能は確実にインテルCPUよりも上です。
Ryzen 5 1600は6コア12スレッド
ただ、マルチスレッド処理に最適化されていないソフトウェアを動かす場合、インテルCPUを利用した場合に比べて、Ryzenの方が性能が劣ってしまいやすいという弱点があります。
シングルコアでは、インテルCPUの方が性能が高い傾向があるのですね。
今後変わってくると思われますが、現状ではマルチスレッドに最適化できていないゲームが少なくない点を考えると、ゲームプレイがメインでPCを買うのなら、インテル系のCPUを搭載したモデルを選んだ方が良さそうです。
NEXTGEAR-MICROシリーズにはインテルCPUを採用する「NEXTGEAR-MICRO im570」も提供されており、そちらのシリーズからマシンを選択すると良いでしょう。
NEXTGEAR-MICRO im570 シリーズ 製品ページ
ゲームだけではなく写真現像や動画編集・エンコードをするという方、3Dソフトを使用したり重い作業を並行して行うような方にとっては、Ryzen搭載のPCが圧倒的なコストパフォーマンスを実現しているという点は間違いありません。
まだ未知数なところが多いRyzenですが、面白みのあるCPUではあるため、何が何でもゲームでの性能を重視するというのでないのなら、Ryzen搭載のゲーミングPCを選んでおいても良いかもしれないと思います。
今回のモデルでも、多くのゲームを高画質で遊べるパワーを持ちあわせており、ゲーミングPCとして不足はありません。
以下、掲載モデルに搭載されているストレージの詳細です。
HDDの仕様(搭載ストレージの内容は変わる可能性があります)
ストレージの内訳
ストレージには、Seagate製の「ST1000DM010-2EP102」という1TB HDDが搭載されていました。
1TB HDDは掲載モデルの基本構成のストレージで、カスタマイズではSSDへの変更や2台目のHDDの追加、NVMe規格のSSDの搭載も可能となるなど、柔軟なストレージ構成を組むことが出来るようになっています。
今回のモデルはHDDであっても、デスクトップ向けのHDDが搭載されているため比較的快適な使用感ではありますが、HDDだとゲームのロードや、写真・動画の編集処理を行う場合に時間がかかってしまうため、SSDへのカスタマイズが好ましいといえるでしょう。
ベンチマークテストの結果
以下、掲載している「NEXTGEAR-MICRO am540SA2」で実施したベンチマークテストの結果です。
【CrystalDiskMark】
Ver.5を使用
【3DMark】
FireStrikeの実行結果
FireStrike Ultraの実行結果
Time Spyの実行結果
【ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族】
左から1280×720、1920×1080、3840×2160/最高品質、ウィンドウモードで実行
【FINAL FANTASY XIV 紅蓮のリベレーター】
上から1280×720、1920×1080、3840×2160(DirectX 11/最高品質)
【CINEBENCH R15】
CINEBENCH R15は、「CINEMA 4D」と呼ばれる3DCG作成ソフトを使用したベンチマークテスト。3DCG画像のレンダリングにかかる時間によってスコアを割り出します。
この結果を見る限り、マルチスレッド処理(CPUとだけ書かれた項目の数値)では、Ryzen CPUはかなり高いパフォーマンスを発揮できるようです。
過去のモデルのデータをざっと見た限りでは、マルチスレッド処理に限っては Ryzen 5 1600の方が、Core i7-7700やCore i7-7700Kよりも高いスコアを出しています。Core i7-7700やCore i7-7700Kのスコアは、いずれも1000cb以下でした。
※Core i5と比較するべきなのですが、Core i5のデータがなかったのでCore i7と比較しています。
ただ、シングルスレッド処理に関してはCore i7-7700やCore i7-7700Kの方が高く、ゲームをはじめ、使用するソフトウェアによってパフォーマンスに大きな差が出るのではと思われます。
【GTA V】
GTA Vのベンチマークテストを実行してみました。
【標準画質】
MSAA x4、リフレクションMSAA x4、異方性フィルタリング x16、その他多くが「高、超高」
【可能な限り高画質】
グラフィックは出来うる限り上限の設定、高度なグラフィック設定はデフォルト設定のまま
【フルHD&標準画質設定】
Frames Per Second (Higher is better) | Min | Max | Avg |
---|---|---|---|
Pass 0 | 7.903658 | 105.594200 | 81.272697 |
Pass 1 | 26.126791 | 127.483841 | 98.066574 |
Pass 2 | 26.389393 | 135.104050 | 94.985413 |
Pass 3 | 50.271526 | 136.475479 | 103.099037 |
Pass 4 | 16.531151 | 152.190628 | 95.865967 |
【フルHD&可能な限り高画質】
Frames Per Second (Higher is better) | Min | Max | Avg |
---|---|---|---|
Pass 0 | 4.423619 | 97.668678 | 44.589481 |
Pass 1 | 10.535487 | 79.083870 | 40.949177 |
Pass 2 | 25.066477 | 109.914268 | 48.216206 |
Pass 3 | 36.198437 | 128.317719 | 52.956707 |
Pass 4 | 10.021099 | 100.056046 | 48.934307 |
【4K&標準画質設定】
Frames Per Second (Higher is better) | Min | Max | Avg |
---|---|---|---|
Pass 0 | 12.106791 | 83.915657 | 44.068462 |
Pass 1 | 18.021301 | 106.776154 | 41.977837 |
Pass 2 | 30.395393 | 132.256821 | 41.073341 |
Pass 3 | 30.790859 | 139.415588 | 44.660439 |
Pass 4 | 15.357680 | 123.111176 | 45.565289 |
4K解像度では、高画質設定にすると消費グラフィックメモリがGTX 1060の3GBを超えてしまうため、実行しませんでした。
あとフルHD解像度であっても、高画質設定にすると平均フレームレートが60fpsを切ってしまい、快適にプレイできるとは言いがたい状態です。
フルHD解像度でやや画質高め程度の設定であれば、概ね快適にプレイできると思います。
【SteamVR Performance Test】
SteamVR Performance Testは「VRレディ」という結果。
VRの利用は可能ですが、本モデルのGTX 1060はVRAMが3GBと少なく、VRの利用が前提ならGTX 1070以上のグラフィックカードを搭載した構成を選びたいところです。
先にも述べましたが、掲載モデルに搭載されているRyzenは、マルチスレッド性能に関しては同クラスや上のクラスのインテルCPUと比較したとしても高いようです。ただゲームプレイに関しては、インテルCPUを搭載したPCの方がハイパフォーマンスな傾向にあります。
とはいえ、ベンチマークテストの結果をみている限りでは、本モデルでも多くのゲームプレイを高画質でこなせる性能を持ちあわせており、ゲーム用のゲーミングデスクトップPCとして不足はありません。
ただどちらかというとゲームメインのユーザーよりも、ゲームだけではなく動画編集や写真現像を行われる方、複数の重い処理を並行して行われる方に向いた製品だといえるでしょう。
そのような用途にはとてもコストパフォーマンスに優れたモデルであり、実際に使っていてそれを実感できると思います。
消費電力
アイドル時およびベンチマーク実行時(3DMark)の、NEXTGEAR-MICRO am540SA2の消費電力を測定してみました。
アイドル時 ・・・ 40W
ベンチマーク実行時 ・・・ 174W
※実際の値は若干上下します
ベンチマーク実行時の消費電力は高いですが、ゲーミングPCの消費電力としては普通です。
再起動(起動&シャットダウン)にかかる時間
NEXTGEAR-MICRO am540SA2の再起動時間を測定。
以下、PassMark Rebooterの実行結果です。
1回目 1:20
2回目 1:16
3回目 1:19
4回目 1:17
5回目 1:16
6回目 1:46
7回目 1:20
8回目 1:26
9回目 1:30
再起動(起動&シャットダウン)の平均時間 ・・・ 1分23秒
再起動にかかる時間は およそ1分23秒。
起動ドライブにSSDを用いた場合と比較すると、やや時間がかかるようです。
常にサクサク作業を行いたい方は、SSDへのカスタマイズを行いましょう。
NEXTGEAR-MICRO am540シリーズ まとめ
NEXTGEAR-MICRO am540 シリーズのレビューは以上となります。
全モデルにRyzenシリーズのCPUを採用する、ミニタワーゲーミングデスクトップPCです。
グラフィックスには、記事作成時点では複数のGeForce GPUを搭載するモデルが幅広く提供されており、ライトユースから重いゲームタイトルのプレイにも対応できるようになっています。
前述したことの繰り返しとなる部分もありますが、ゲームメインの方がPCを購入する場合、現時点ではRyzen採用の本シリーズよりも、インテルCPUを搭載したPCを選んだ方が高いパフォーマンスを得やすいです。
NEXTGEAR-MICROにはインテルCPUを搭載したシリーズも提供されていますので、そちらを選ぶと良いでしょう。
NEXTGEAR-MICRO im570 シリーズ 製品ページ(インテルCPU)
一方でゲームだけではなく、写真現像や動画のエンコード、3D系のソフトの使用や、複数のソフトウェアで並行して作業を行うような方にとっては、Ryzen搭載のNEXTGEAR-MICRO am540シリーズは非常にコストパフォーマンスが高いです。
価格に関しても、モデルによっては多少カスタマイズの必要があるため、基本価格だけを見て判断はできないものの、カスタマイズを行ったとしても全体的にリーズナブルであり、魅力は大きいです。