Chromiumベースの国産ブラウザ「Kinza」のレビュー ユーザーの意見を元に作り上げるブラウザ
インターネットを閲覧する際に利用するウェブブラウザ、皆さんは普段何をつかわれているでしょうか。
OSなど環境にもよると思いますが、有名所ではIEやFireFox、Google Chrome、Operaなど、iOSならSafariとか、国産ならLunascapeとかSleipnir等も有名ですが、実際には膨大な数のブラウザが存在します。
私自身はこれまでいろいろ試しはしたものの、最近は普段のブラウジングにはほぼGoogle Chromeを使用しており、必要に応じて別のブラウザを利用するような感じのネット閲覧環境なのですが、少し前より、Google Chromeに加えて「Kinza(キンザ)」という国産ブラウザを利用しています。
そもそも、使い始めたのは「Kinza」の記事を書かないかというお話をいただいたからであり、自発的に利用し始めたわけではないのですが、これがなかなか使いやすく機能も面白い・・
使いやすいというのは当然で、「Kinza」はGoogle Chromeと同じく「Chromium」というオープンソースのウェブブラウザをベースに設計されており、UIがGoogle Chromeとほぼ同じ。慣れるなどという以前に、Google Chromeを利用する感覚で使えるのです。
さらに、RSSリーダー機能やスーパードラッグ機能など、Google Chromeにはない機能も搭載しており、インターネットの閲覧時間が長い方ほど使い勝手の良さを感じるのではと思われます。
もちろんここがもう少し・・という部分もあり、今回はそういった点も踏まえて、「Kinza」というウェブブラウザの機能や使用感、機能への要望などについて触れてみたいと思います。
【ウェブブラウザ「Kinza」レビュー記事目次】
・なぜ「Kinza(キンザ)」?
・UIや使用感はGoogle Chromeそのもの
・アドレスバー(オムニボックス)検索 複数の検索エンジンから検索
・スーパードラッグ機能で簡単にテキスト検索
・RSSリーダー機能は便利 けれどもう少し機能を充実して欲しい
・今後もユーザーの意見を元に開発
・Kinza まとめ
※本記事は依頼により、ブラウザを利用した感想や機能に対する要望についてまとめたものです。
なぜ「Kinza(キンザ)」?
まず最初に思ったのが、なぜ「Kinza」なのかという事。
Kinzaの開発を行っている Dayz株式会社は日本橋に所在しており、日本橋なら「Ginza(ギンザ)」ではなどと勝手に考えていたのですが、公式サイトには大きく「「銀座(ギンザ)」ではありません。」との文字が・・
解説によると、「銀座」という呼び名が江戸時代に銀貨を鋳造していた場所を由来としているのに対し、同じように金貨や小判を鋳造する場所「金座」が日本橋に存在していたのだそうで、その「金座」という場所が「Kinza」という名前の由来となっているのだとか。
「ユーザーの皆様に金貨や小判に匹敵するような多くの価値やエクスペリエンスを得て頂きたい」
という想いを「Kinza(キンザ)」に込め、日々開発を続けているそうです。
使用感はGoogle Chromeそのもの プラスαで便利な機能を搭載
上でも述べましたが、「Kinza」のUIはGoogle Chromeそのものであり、アカウントなどもGoogle Chrome用のものを利用します。
拡張機能なども、Chromeウェブストアからダウンロードしたものを利用するため、Google Chromeを利用している方なら、違和感なく使えるはずです。(というより、両方を同時に使用していると、どちらを利用しているのかがわからなくなります)
インストール直後の「Kinza」
Kinza独自の設定を行える「Kinza ボタン」が用意されている
ログインにはGoogleアカウントを使用 履歴やブックマークなどの設定が同期される
このように基本的な機能はGoogle Chromeとほぼ同じですが、「Kinza」にはさらにいくつかの独自機能が搭載されています。
例えば・・
・アドレスバー(オムニボックス)検索機能
・スーパードラッグ機能
・RSSリーダー機能
他にも、タブバーの上でマウスホイールを動かすとタブ移動出来たり、ダブルクリックでタブを閉じる(要設定)など、細かな点でGoogle Chromeとは異なります。
私自身は多数のタブを開くため、マウスホイールでのタブ移動はとても便利だと感じます。(クリックでのタブ移動だと、誤って×ボタンを押しページを閉じてしまう事があるため)
というわけで以下、主な機能の紹介と使用感、また改善してほしい点についてもいろいろと述べてみました。
アドレスバー(オムニボックス)検索機能 複数の検索エンジンから検索できる
アドレスバー(オムニボックス)に文字を入力して検索する事自体は珍しくありませんが、「Kinza」では文字入力と同時に検索するエンジンの種類を選択する事ができます。
検索候補の他、複数の検索エンジンやRSSからの検索も可能
登録しているRSSからの検索も可能となっており、検索語句とRSS内の記事タイトルに部分一致があった場合、その記事も検索対象に含めます。
※RSSを検索対象に含めるかそうでないかは、設定で変更可能。
これは複数の検索エンジンを利用したいユーザーには便利な機能です。
なお、検索エンジンを選択せずに検索をした場合には、既定に設定している検索エンジンの検索結果を表示します。
スーパードラッグ機能 簡単にテキスト検索
スーパードラッグはつい先日、2014年7月25日に実装されたばかりの機能なのですが、これを待っていたというユーザーは少なくないのではと思います。
具体的には、ウェブ上でテキストを選択した際、選択したテキストをドラッグ&ドロップする事で検索結果ページを開く事ができるというもの。
例えば他のブラウザでも、選択したテキストを右クリック、表示されたコンテキストメニューの中から検索を選択する事で、検索結果ページを開く事ができますが、その機能をドラッグ&ドロップで動作させる事ができます。
もちろん、ただ検索結果を表示するだけでなく、例えば上方向にドラッグ&ドロップした場合は新しいタブで、また右方向にドロップした場合には新しいウィンドウで・・など、ドロップする方向によって異なるアクションを設定する事が可能です。
選択したテキストをドラッグ&ドロップする事で、テキスト検索を行う事が可能
スーパードラッグの設定 上下左右に異なるアクションを設定できる
使い慣れてしまうと、他のブラウザが使い難くなってしまうと感じるくらい便利な機能です。
このスーパードラッグ、実はGoogle Chromeの拡張機能にも似たようなものがありますし、CoolNovo(元ChromePlus)など、「Kinza」以外にも実装しているブラウザは存在します。
ただ、拡張機能は広告が出たり反応がおかしいなど個人的に良いと思えるものがなく、またCoolNovoなどは機能豊富で使いやすくとても良かったのですが、ずっと更新されていないのでセキュリティ面を考えて使わなくなりました。
そういった理由より、Kinzaへのスーパードラッグ機能の追加を喜ぶユーザーは多いのではと思います。
RSSリーダー機能は便利 けれどもう少し機能を充実して欲しい
私にとってRSSリーダーはインターネット閲覧の重要なツールであり、RSSリーダーがないと日々の情報収集に支障が出るというくらい、毎日利用しています。
2013年7月にGoogleリーダーが廃止されましたが、これは非常に残念な事でした。今現在はNetvibesやfeedlyというリーダーを利用しており、UIや機能にはそれなりに満足していますが、そのRSSリーダー機能が「Kinza」にはデフォルトで搭載されています。
「Kinza」のRSSリーダー
RSSはKinzaボタンからの登録の他、OPML形式のファイルをインポート・エクスポートする事も可能
設定画面ではRSSの更新間隔等を設定できる
ただ、もう少しUIを見やすく、機能を充実させないと使い難いです。
登録するRSSの数が少ないのであればまだしも、RSSリーダーを利用するユーザーは多くのサイトの更新情報を効率よく見る為にリーダーを利用する方が大半だと思うので、RSSの登録数も多いはず。
ですが「Kinza」のRSSリーダーは、表示されている更新情報をサイト毎に上下させる事は出来るものの、カテゴリ分け等の機能がない為に整理がし難く、また表示が縦に長く見辛いです。
今の状態だと、RSS機能が搭載されていてもメインには使い難いと思うので、最低でもカテゴリ分けが行えたり、各サイトの更新記事の展開や折りたたみができると有難いです。
また、様々なユーザーがいる為難しいかもしれませんが、他のRSSリーダーと連携できるような機能があればより便利だと思います。
今後もユーザーの意見を元に開発
「Kinza」は、ユーザーからの意見や要望を元に、機能の開発や改善を行っています。
具体的には公式サイト内に掲示板を設け、「Kinza」のバグ報告や機能の追加・改善の要望などについて、常時ユーザーからのフィードバックを受け付けています。
Kinzaボタンを押すと開くメニューの「バグ報告や要望」より掲示板ヘアクセスできる
これまで追加された機能も、主にユーザーからの意見を取り入れて実現したもので、ユーザー本位の姿勢で開発が行われるという点が、他のブラウザとは大きく異なる所。
無料で提供されているソフトウェアですので、ユーザーが望む全ての機能追加や改善などは難しいものもあると思いますが、これまでにも機能が追加され少しづつ使いやすくなっているという点を考えると、今後にも期待できそうです。
ちなみに現在(2014年8月19日時点)、マウスジェスチャー機能の開発を行っているとの事。(マウスの動作で履歴の戻るや進むなど、様々なアクションを行える。これは本当に便利。)
この機能が実現すればさらに魅力のある、使いやすいブラウザになるのではと思います。
※2014年8月31日追記:マウスジェスチャー機能を搭載したKinza version 1.3.0がリリースされました。
Kinza まとめ
Kinza のレビューは以上となります。
最後にまとめると・・
・Chromiumベースで親しみやすいUI
・ユーザーの意見を元に機能改善や開発が行われている
・スーパードラッグなど使いやすい機能を搭載(今後も機能は追加されていく)
・RSSリーダー機能にはもう少し工夫が欲しい
(RSSは折りたたみや展開、カテゴリ分けが行える事と、可能なら他RSSリーダーとの連携ができれば最高)
今の所、この「Kinza」ならではという機能はないものの、ユーザーの意見を元に機能改善や開発が行われているという点で、今後大いに期待できるブラウザだと思います。
上にも書きましたが、現在(2014年8月19日時点)マウスジェスチャー機能の開発が行われているそうで、個人的にはマウスジェスチャー機能が追加され、RSSリーダーが使いやすくなればとりあえずは十分かなという感じでしょうか。
マウスジェスチャーなどは機能の内容について後々も調整が必要でしょうから、使っているうちにここがもうちょっと・・という点も多分出てくるだろうと思いますが、そういった機能改善や追加の意見を伝える事ができる場が設けられているというのはユーザーにとてメリットが大きいですし、それこそがこのブラウザの強みだと言えるでしょう。
ただ逆に、高機能になりすぎてメニューやカスタマイズ項目が増えてしまうと、詳しい方はともかく、初心者にはわかり辛く結局使えないという事にもなりかねないので、わかりやすさを保ちつつ機能を充実させていってもらえたらと思います。
今現在使用しているブラウザの機能に満足していない、また様々なソフトウェアを試すのが好きだという方は、是非「Kinza」を利用してみてはいかがでしょうか。