HP OMEN 15 の解説&速攻レビュー (極薄ボディの15.6型ゲーミングノート)
日本HPより、15.6型のゲーミングノート「HP OMEN 15」が発表・発売開始されました。2014年11月の頭に米HPより発表されているため、製品自体は既にご存知だという方もおられると思います。
これまでにも、HPの製品ではゲームのプレイが可能な高性能を謳うノートPCが複数提供されていますが、今回のHP OMENは完全にゲーム向けを意識した製品であり、これまでの製品とは毛色が異なります。
グラフィックスにはGTX860Mを搭載と、構成自体はさほど珍しいものではありませんが、筺体の厚みが約15.5mm~19.9mmとゲーミングPCとは思えない程薄く、見た目にもスタイリッシュ。
もちろん外観へのこだわりだけではなく、ゲームを盛り上げる各所のライティングをはじめ、プログラマブルキーの搭載やゲームの操作を考慮した端子の配置、エアフローの工夫など、ゲームのプレイに適した様々な要素を存分に持ち合わせたモデルです。
PCの性能だけではなく、機能や外観にもとことんこだわりたいというユーザーに向く個性的なゲーミングノートだと言えるでしょう。
今回は、そんなHP OMEN 15の外観や特徴、本製品ならではの一通りの機能について、実機の写真を交えながらご紹介したいと思います。
【HP OMEN 15 記事目次】
・HP OMEN 15 の主な特徴
・筐体デザインやインターフェースをチェック
・キーボードやタッチパッドをチェック
・エアフローへのこだわり
・HP OMEN Control他 豊富なツール群
・梱包用の箱にもこだわり
・HP OMEN 15-5000 製品の構成と価格
HP OMEN 15 の主な特徴
【主な特徴】
・厚み15.5mm~19.9mmの極薄ボディを採用
・重量約2.15kg
・ディスプレイは15.6型フルHDのIPS液晶 タッチ操作に対応
・グラフィックスにはGTX860Mを搭載
・ストレージには256GB M.2 SSDを搭載
・プログラマブルキーの搭載や、エリアごとに色指定が可能なバックライトキーボードを採用
・専用の冷却モジュールの採用に加え、排熱口の配置やゴム足の形状など、エアフローを考慮した排熱設計
・各種設定が可能な専用ソフト「HP OMEN Control」を搭載
本製品の大きな特徴は、高性能なゲーム向けの構成を持ちながらも約15.5mm~19.9mmの薄型ボディを採用している点。
薄いだけでなく、重量も15.6型サイズのノートでありながら約2.15kgと、一般的なノート並に軽いです。
薄いと熱が気になりますが、本製品は専用の冷却モジュールの採用など排熱設計を重視する事で、
高性能・スリムボディでありながら安定した環境での快適なゲームプレイを可能としています。
メーカー製のゲーミングPC、というとなんとなく細部の詰めが甘い印象を持つ方も少なくないのではと思いますが、
本製品はそういったイメージとは異なり、細部までとことん突き詰められた完成度の高い製品です。
カラーのカスタマイズが可能なキーボードバックライトの搭載や、プログラマブルキーの搭載など、
ゲーミング製品らしい要素も多数持ち合わせており、ゲームには演出も大事だと考える方に特に面白い製品だと思われます。
・・一応触れておくと、HPは2006年にゲーミングPCメーカーとして有名なVoodooを買収しており、
その後、Voodooブランドを謳ったゲーム向けのPCを複数リリースしています。
といっても、Voodooの流れを汲む製品として日本に投入されたのはENVYブランドのみで、
「Voodoo」の名を持つ製品はリリースされていないため、ご存知ではない方もおられるかもしれません。
今回、日本でリリースされた「HP OMEN」というブランド名は、Voodooブランドの1製品として海外で発売されたハイエンドデスクトップPC「HP Voodoo Omen」の名を取ったもの。調べていただくとわかりますが、「HP Voodoo Omen」は非常に美しい外観を持つゲーミングデスクトップPCです。
「HP OMEN」はノートPCですが、「HP Voodoo Omen」と同じように内容にはもちろん、デザイン面においてもディティールに徹底的にこだわった製品であり、そういった部分を重視する方に最適なゲーミングPCだと言えるでしょう。
HP OMEN 筐体デザインやインターフェースをチェック
HP OMEN 15に使用されている筐体のデザインや、インターフェースの内容について解説します。
HP OMEN 15の筐体全体の様子
筺体のサイズは幅383mm、奥行き251mm、高さは15.5mm~19.9mmとゲーミングノートにしてはかなり薄型。
重さも約2.15kgと、非常に軽量です。
モバイルノートとしてはそれ程軽くはないかもしれませんが、持ち歩きも可能な重さです。
見た目に薄くスタイリッシュな筐体 ゲーム用のノートとは思えません
タッチ対応の15.6型フルHD IPS光沢パネルを採用
ゲーミングノート・・というと最近では非光沢パネル搭載のモデルを良く見かけますが、本製品は光沢パネルを採用。
この辺は、好みの違いなどで人によって賛否両論あるかと思いますが、
発色鮮やかな液晶や段差のないベゼルの採用など、デザインは非常に美しいです。
タッチ操作に対応しているため、ゲームプレイ時以外の操作も快適に行えますし、タッチ機能はオフにもできます。
天板にはトライアングル・ドットのテクスチャ・パターンが一面に添えられています
天板は、コンピューター数値制御(CNC)加工による制度の高いアルミ切削処理によるデザインを採用。
さらにサンドブラストフィニッシュとアルマイト処理を施す事で、美しいながらも堅牢性の高いボディを実現しています。
少し指紋跡は目立ちやすいかなと思いますが、高級感ある美しいデザインです。
HEWLETT-PACKARDのロゴも削り出し加工によるもの 見る角度によって光沢感が変化します
主要な端子は全て背面に配置
HP OMEN 15では操作性を考慮し、主要な端子は全て筐体背面側に配置されています。
例えばUSBタイプのマウスを接続したり、液晶等を接続した場合などに筺体側面に端子があると、
接続したケーブル類が操作の邪魔になる事がありますが、本製品ではそのような事はありません。
あえていうと、USBメモリなどのデバイスを利用する場合に背面側に手を伸ばさなくてはならないのは面倒ですが、
そういったデバイスを頻繁に利用するかと言うと、そうでもないと思います。
端子の内容は左から電源コネクター、USB3.0×4、HDMI、Mini DisplayPort、ヘッドフォンやマイクのコンボポート。
頻繁に使用する可能性の高いSDカードスロットは、筐体側面に搭載されています。
LAN端子はありませんが、標準でLAN変換アダプターが付属します。
SDカードスロットは筺体右側面に搭載
不思議な色合いを持つヒンジ部分のデザインは、レーシングカーのマフラーをイメージしているのだとか
キーボードやタッチパッドをチェック
次に、キーボード面の様子や機能、操作性をチェックします。
キーボード面全体の様子とキーボードの拡大図 テンキーはなし
アイソレーションタイプのキーボードを採用しています。
キーストロークが約1.8mmと比較的深さがあり、タッチ感の良いキーボードです。
主要なキーの配列は、他のHPノートのキー配列と大きく変わらないようですが、左側にプログラマブルキーを搭載しています。
プログラマブルキーとは、出力するキーの組み合わせを予め設定できるキーの事。
例えばゲームなどをプレイしていると、「Ctrl」や「Shift」など複数のキーを組み合わせてキャラクター等の特殊な操作を行う事も少なくはありませんが、そういった複数キーの組み合わせを予めプログラマブルキーに設定しておく事で、1つのキーで操作を簡単に行う事ができるようになります。
ゲーム用として販売されているキーボードには、搭載される事の多い機能です。
キーボード左側に配置された6つのプログラマブルキー 専用のソフトを利用して詳細設定が可能です
キートップはフラットな形状
カラーのカスタマイズが可能なキーボードバックライトを搭載
キーボードのバックライトは、かなり柔軟なカラーの設定が可能です。
キーボードバックライトだけではなく、スピーカーや電源部分のライティングもカスタマイズが可能。
ライティングの設定については、後の項で触れます。
ボタン一体型のタッチパッド
タッチパッドはボタン一体型。
一般的なノートPCに比べてかなり横長なタッチパッドで、使用感は普通ではないかと思いますが、
キーボード操作を行うと手のひらがパッド面に触れやすいです。
とはいえ、このサイズのノートPCではマウスを利用される方が大半ではないかと思いますので、それ程問題ではないと思います。
エアフローへのこだわり
ゲーミングノートはどうしてもその用途と構造上の理由により、熱の問題が起きやすいです。
すぐさま熱がトラブルにつながるような事はあまりないと思いますが、筺体が熱くて操作が不快であったり、
長時間のゲームプレイによる高熱が原因でパーツの寿命を縮めてしまう可能性はあるでしょう。
特に本製品はゲーミングノートにしては薄型の筺体を採用している事もあって、
熱問題が起きやすいのではないかという不安を感じる方もおられるかもしれませんが、思いのほか、排熱設計にはかなり拘わりがあるよう。
日本HPによる調査(テスト)では、長時間ゲームを行った場合でも問題になる程のパーツの温度上昇はないとの事で、
もちろん環境や使い方によっては例外はあると思いますが、安定した環境でのゲームプレイが可能です。
HP OMEN 15の底面全体の様子 底面から吸気し、背面から排気するというエアフローです
トライアングル・ホールを底面に採用
写真ではわかり難いですが、内部の冷却モジュールの位置にあわせ、
底面カバーにはトライアングル・ホールと呼ばれる細かな通気口が設けられており、効率的な吸気が可能です。
底面内部にはデュアルファンと3本の銅製ヒートパイプを用いた専用の冷却モジュールが設置されており、
強力にCPUやGPUなどのパーツを冷却します。
エアフローを考慮したゴム足の形状や配置
背面から排気した温風が、再度底面から内部へ逆流してしまわないよう、
底面のふちを取り囲むようにゴム足が配置されています。
これにより常に冷たい空気を取り込み、内部を冷却する事が可能となります。
ディスプレイを傾斜しても排熱口を塞がない構造
多くのノートPCでは、ディスプレイを傾斜させるとトップカバーによって背面が塞れてしまうものが多い中、
本製品はディスプレイを傾斜させても、トップカバーが背面にかからないため、排熱口を塞いでしまう事がありません。
このように、どれも非常に細かな構造の工夫ですが、
組み合わせることによって得られる冷却効果は決して小さくはないでしょう。
排気された空気が筐体前面側に来ることはないため、熱で不快になるような事もないと思います。
HP OMEN Control他 豊富なツール群
HP OMEN 15には従来からのHP製ソフトウェアに加え、本製品ならではのツール群が複数搭載されており、キーボードの設定やシステム調整など、細かな設定を行う事ができるようになっています。
HP OMEN 15に搭載されているHP製のソフトウェア
今回は、その中の一部のソフトウェアについて簡単にご紹介いたします。
ゲーム関連機能の各種設定が可能な「HP OMEN Control」を搭載
HP OMEN Controlは、主にキーボードの設定を行う専用のソフトウェア。
例えば本製品に搭載されているプログラマブルキーやライティングの詳細設定、またWindowsキーやタッチスクリーンの有効・無効など、様々な設定を行う事が可能です。
HP OMEN Control 照明(バックライトのライティング)設定画面
キーボードは複数のエリアに分割されており、各エリア毎に異なるカラーを設定する事が可能です。
明るさの設定も1%刻みで設定する事ができます。
キーボードバックライトの設定だけではなく、スピーカーや電源部分のライティング設定もここで行えます。
予め決められた各エリアごとにカラーの設定を行う事ができます
Windows標準のカラーピッカーを利用し、自由な配色が可能
WASDキーに色を設定する事もできます
WASDキーに赤色を設定 ゲーム操作でこれらのキーを利用する場合に便利です
スピーカーにもバックライトが内蔵されており、色の設定が行えます
キーの割り当て設定画面 主にプログラマブルキーの設定をする項目です
詳細設定画面
詳細設定ではWindowsキーの有効無効設定の他、タッチスクリーンやタッチパッドの無効設定、
ファンの設定やファンクションキーの初期設定なども行えるなど、非常に細かい部分にまで手の届く仕様となっています。
システム環境を最適に保つ「HP Performance Advisor」
HP Performance Advisorは、PCの環境把握やシステムのパフォーマンス改善など、
PCを快適な状態で利用するための調整機能を備えたソフトウェア。
元々、HPのWorkstation シリーズに搭載されているソフトウェアですが、
事前調査でゲーミングPCへの搭載が役に立つという意見が多かった事より、HP OMENにも標準搭載したのだとか。
PCのハード環境やソフト環境などをわかりやすいUIで把握
ドライバのアップデートなどシステムを最新に保つ事はもちろん、メモリの使用状況を把握したり、
トラブル発生時などにも役立つソフトウェアだと思われます。
梱包用の箱にもこだわり
HP OMEN 15に使われている、梱包用の化粧箱や一部の付属品等をご紹介いたします。
デザインに拘った製品というだけあって、製品専用の化粧箱も、ブランド品の化粧箱のような拘ったデザイン・つくりとなっています。
化粧箱 シンプルですがゲームPCらしい力強さを感じさせるデザイン
箱の形状が四角形ではなく台形
Voodooロゴのステッカーが付属
製品の主な機能解説やセットアップ方法などを記載したシート
本製品にはLANがないため、標準でLAN変換アダプターが付属しています
本製品の有料オプションとして提供されているゲーミングマウス「HP X9000」
最大8,200dpiの高いレーザー精度を持つゲーミングマウス 複数のボタンとホイールを搭載
「HP X9000」自体は既に販売されているものですが、HP OMENのイメージにあったデザインが特徴的なゲーミングマウスです。
HP OMEN 15-5000 製品の構成と価格
最後に、製品の主な構成と価格について触れます。
変更となる可能性がありますので、正確な内容については公式の製品ページにてご確認下さい。
HP OMEN 15-5000 | |
---|---|
CPU | Core i7-4710HQ |
OS | Windows 8.1 Update(64bit) |
デザイン | ブラック |
ディスプレイ | 15.6型ワイドフルHD(1920×1080)IPS光沢、タッチ対応 |
メモリ | 8GB / 16GB |
グラフィックス | GeForce GTX 860M(4GB/GDDR5) |
ストレージ | 256GB SSD(PCIe、M.2接続) |
光学ドライブ | なし |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac + Bluetooth |
キーボード | 日本語バックライトキーボード |
サイズ/質量 | 約383×251×15.5~19.9mm(ゴム足含まず)/約2.15kg |
外部映像出力 | Mini DisplayPort、HDMI |
バッテリ駆動時間 | 約4時間半 |
付属品など | USB/LAN変換アダプター、速攻!HPパソコンナビ特別版他 |
保証 | 1年 |
価格(税抜) | 199,800円 / 224,800円 |
ベンチマークスコア | |
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ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 | 12007(1920×1080/最高品質) |
FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア キャラクター編 | 6024(1920×1080/最高品質) |
※ベンチマークスコアは日本HPによる測定
HP OMEN 15については以上となります。
構成的な部分だけで考えるとややお値段は高めですが、搭載機能など内容的には相応の価格。
製品デザインはもちろん、ボディの薄さや質感の高さなど、他では見られない個性的なゲーミングノートです。
性能以外の面も重視するというユーザーには満足度の高い製品だと言えるでしょう。
現在ゲーミングPCの購入を検討されている方、また本製品に興味をお持ちの方は、是非製品ページをチェックしてみてください。