バッテリ駆動時間の計算方法

PCなどを購入する際、バッテリの持ちがどの程度であるかを気にされる方も多いと思います。
バッテリ駆動時間は、メーカーが公開する仕様などに記載されていますが、 メーカーによって測定方法が異なるため、時に実際に利用した場合のバッテリ駆動時間と全く異なる事があります。
実際にどの程度の時間バッテリが持つのかについては、製品を使用しながら駆動時間を測定するのが最も確実な方法ですが、 バッテリの裏などに記載されている仕様や消費電力から、バッテリの大まかな駆動時間を計算する事が可能です。
今回の記事では、その方法を解説してみました。
まずバッテリの仕様についてですが、バッテリの裏などを見ると大抵、そのバッテリの「電圧(V)」や 「電流容量(mAhやAh)」、「エネルギー容量(Wh)」などが記載されたラベルが貼られています。(ここに上げた全ては書かれていないかもしれませんが、 いずれかの数値が記載されていると思います)
バッテリ駆動時間は、以下の式で求める事が可能です。
バッテリのラベルなどに記載された「エネルギー容量」の他に、「消費電力」がわかれば簡単に駆動時間を割り出せます。
「エネルギー容量(Wh)」が記載されていない場合でも、「電圧(V)」と「電流容量(Ah)」を掛ける事で「エネルギー容量(Wh)」を求める事が可能です。
「消費電力」については、市販されている消費電力測定器を利用すると簡単に測定できますが、測定器がない場合は、 メーカーが仕様で公開している標準消費電力や最大消費電力をもとに、おおよその計算を行う事ができると思います。
バッテリ駆動時間の計算例
計算例をあげてみます。


左:バッテリに記載された仕様 / 右:アイドル時の消費電力
上記はゲーム向けのノートPC、NEXTGEAR-NOTE i1100のバッテリと消費電力測定値です。
GPUを2基SLI構成で搭載したハイエンドなモデルで、見ての通り、アイドル状態(なにもしない状態)であっても消費電力は高め。
このモデルの場合、エネルギー容量(Wh)の記載がありますので、消費電力を求める事で簡単にバッテリ駆動時間が割り出せます。
もしエネルギー容量(Wh)の記載がない場合は「電圧(15.12V)×電流容量(5.9Ah)=エネルギー容量(89.208Wh)」と計算してください。
エネルギー容量と消費電力から求められるバッテリ駆動時間は・・・
上記の式にそれぞれの数値を当てはめると、「89.21÷36」で「2.478055555555556(h)」という数値が出ました。
約2.5時間の駆動時間です。
ちなみにNEXTGEAR-NOTE i1100の仕様を見ると、駆動時間の欄に約2.5時間との記載があり、ほぼ何もしない状態か 非常に軽い作業時の駆動時間を掲載しているのだという事がわかります。(メーカーによって、どのような計算方法を採用しているのかは異なります)
実際にbbenchでこのモデルのバッテリ駆動時間を測定してみた所、以下のような結果がでました。
ネット閲覧や文字入力など、軽い作業を行い続けた場合の駆動時間です。(ストロークは10秒毎、ネットへのアクセスは60秒毎)

bbenchでのバッテリ駆動時間測定結果
バッテリの電力残量が100%から10%になるまでの時間は7792秒。
約2.1時間のバッテリ駆動時間だという事がわかります。
仮に100%バッテリの電力を使い切るとすると、約2.4時間(2.404938271604938)バッテリによる駆動が可能という計算です。
もう一つ計算例をあげてみます。


左:バッテリに記載の仕様 / 右:アイドル時の消費電力
上記は15.6型のノート「ThinkPad T540p」に搭載されていた6セルバッテリと、T540pのアイドル時の消費電力値。
ゲーム向けのPCなどと比べると消費電力は低いですが、
外部グラフィックスが搭載されているため、最近のノートPCにしてはやや電力消費は大きめとなる製品です。
こちらも同じように計算すると・・
何もしない状態でのバッテリ駆動時間は4.75時間。
構成にもよりますが、「HDD+Core i7+FHD液晶」モデルの公称の駆動時間は約5時間との記載があり、大体計算通りだと言えそうです。
このモデルも最初の掲載例と同じように、bbenchでバッテリ駆動時間を測定してみた所、以下のような結果がでました。

bbenchでのバッテリ駆動時間測定結果
ネットや文字入力など、軽めの作業を行った場合のバッテリ駆動時間は15955秒。
約4.4時間という結果です。
上記の数値は電力残量が5%になった時点での時間で、 100%完全にバッテリを使い切った場合、約4.6時間(4.665204678362573)バッテリが持つという計算。 エネルギー容量や消費電力より計算して求めたバッテリ駆動時間と、ほぼ同じだと言えます。
最後にもう一つ、計算例をあげてみます。


左:バッテリに記載の仕様 / 右:アイドル時の消費電力
上記は15.6型の「HP ENVY 15-j100」というモデルのバッテリと、アイドル時の消費電力値です。
先のモデルと同じように計算してみます。
バッテリ駆動時間は7.75時間という計算結果です。
bbenchでのバッテリ駆動時間測定結果は・・

bbenchでのバッテリ駆動時間測定結果
バッテリの電力が100%から5%になるまでの時間は28845秒で、約8時間ものバッテリ駆動が可能という結果。
100%バッテリを使い切った場合、約8.4時間(8.434210526315789)バッテリが持つ計算です。
この結果は、先ほど計算して求めた7.75時間という数値よりもやや大きいですが、大幅に異なるわけではないので誤差の範囲と取れます。
アイドル時の消費電力は7Wに近い8Wだったのではないかと思われます。
仮に消費電力を7Wとして計算した場合、バッテリ駆動時間は約8.8時間という結果になります。
バッテリ駆動時間の計算方法を知っていると、バッテリを追加で購入する場合などに便利です。
バッテリが劣化している場合や、使用する環境によっては計算した駆動時間が当てにならない事もありますが、
おおよその見当をつける事は出来ると思います。
※個人的な意見ですが、ネットなどで売られているバッテリは詳細な仕様の記載がない事が多く・・ なぜ記載がないのかよくわかりませんが、不満です。
私自身はPCなどの機器類に触れる事が多い為か、製品の検証を行う際、バッテリをチェックしたり消費電力を測定しているうちに、 おおよそのバッテリ駆動時間を頭の中で計算してしまう癖が付いてしまったのですが、 まだ使って間もない新しい製品では、大体その計算結果通りの実測値が出ます。
バッテリの仕様がわからない製品などもありますが、 YbInfo 等のソフトを利用すれば電圧やエネルギー容量がわかりますので、消費電力を調べてバッテリ駆動時間を計算する事が可能です。
解説する程の内容でもないと思いますが、
また後日、時間と気力に余裕があればソフトを利用して調べる方法などもご紹介したいと思います。
そういったソフトではバッテリの劣化具合などもわかるため、古いPCのバッテリなどをチェックしてみると結構面白いかもしれません。