同時アクセス数の上限値とは?同時アクセス数の上限値がわかるレンタルサーバーはある?
レンタルサーバーのプランを選ぶとき、何を見て選んでいますか?
多くは価格であったり、ディスク容量や転送量、機能などを見て選ぶ方が多いのではないかと思いますが、快適にサイト運営したいのであれば、「同時アクセス数の上限値」も考慮する必要があります。
今回の記事では、この同時アクセス数とは何か?について解説するとともに、同時アクセス数を公開しているサーバーについても触れたいと思います。
【目次】
・同時アクセス数とは何か
同時アクセス数(同時接続数)とは
同時アクセス数の本来の意味合いとは
・レンタルサーバーを選ぶときは「同時アクセス数の上限値」を考慮しよう
同時アクセス数とは何か
多くのレンタルサーバーでは、各プランごとに「同時アクセス数」もしくは「同時接続数」の上限値というものが定められています。
この「同時アクセス数」とはいったい何なのでしょうか?
以下、解説します。
同時アクセス数(同時接続数)とは
同時アクセス数とは、Webサイトに同時にアクセスしているユーザーの数を示す言葉で、多くのレンタルサーバーではプランごとに同時アクセス数の上限値というものが定められています。
もしその上限値を超えるアクセスが同時に来た場合、閲覧者には503エラーが返され、正常なページが表示されません。
なぜそのような措置をとるのか?ですが、多くのレンタルサーバーは他のユーザーと一緒に利用する共用タイプのサーバーです。
共用サーバーであるがゆえに、とあるユーザーのサイトにアクセスが集中してサーバーに負荷がかかると、他のユーザーのサイトにまでその負荷の影響が出てしまう可能性があります。
そうやって他のユーザーに迷惑がかかるのを防ぐために、一定以上のアクセスが同時に来た場合は、強制的に503エラーを返すようにしているというわけです。
ちなみに、「同時アクセス数」の意味合いはレンタルサーバーによって異なります。
例えばロリポップ!では、前述したように「同時アクセス数=同時にアクセスしているユーザーの数」という意味合いで使用していますが、実はこれ、ちょっと違うんですよね。
本来の「同時アクセス数」の意味合いについても、次項で一応説明しておきます。
同時アクセス数の本来の意味合いとは
前項で「同時アクセス数=同時にアクセスしているユーザーの数」だと説明しましたが、これ、本来の意味合いとはちょっと異なります。
本来の「同時アクセス数」とは、アクセスユーザーの数ではなく、Webサイトからのデータ送受信のプロセス数を意味しています。
もう少しかみ砕いて説明すると、例えばhtmlファイルとCSSファイル、JSファイル、画像ファイル…といった具合に、計4ファイルで構成されたWebサイトがあったとします。
一人のユーザーがそのWebサイトにアクセスした場合、サーバー上にある4ファイルがユーザーのパソコンにダウンロードされ、ユーザーが閲覧できる状態になります。
その4ファイルが同時にダウンロードされているときの状態が、同時アクセス数4です。
・htmlファイル
・CSSファイル
・JSファイル
・画像ファイル
このサイトに1人のユーザーがアクセスすると、4つのデータダウンロードが発生
↓
同時アクセス数4
2人のユーザーが同時にアクセスした場合、4×2のデータダウンロードが発生
↓
同時アクセス数8
厳密にはWebサイトを構成する各ファイルは、サイズによって瞬時にダウンロードされるもの、またダウンロードに時間がかかるものなど、ダウンロードのタイミングが少しずつずれます。
ですので一定数のユーザーがWebサイトに同時にアクセスしたとしても、同時アクセス数が高値となるのは一瞬であり、その状態が長く続くことはありません。
ですが、サイズの大きい画像や動画のようなファイルをWebサイトで多用していると、1つ1つのデータダウンロードに時間がかかるため、同時アクセス数が高値になりやすくなります。
また短期間にアクセスが集中した場合も、同時アクセス数の数値は高くなりやすいです。
そのようにして同時アクセス数がサーバーで定められた上限値を超えてしまうと、503エラーなどでページが表示されなくなります。
このように、本来の同時アクセス数の意味合いは「同時にダウンロードしているデータ数」が正解です。
ただレンタルサーバーのマニュアルを見ていると、前項で説明したように「同時にアクセスしているユーザー数」としているところが多いようです。
いずれにせよ、Webサイトへのアクセスが多くなりすぎるとページが表示されなくなる可能性が高くなるため、使用しているレンタルサーバーの同時アクセス数がどの程度か?は無視できないことだといえます。
レンタルサーバーを選ぶときは「同時アクセス数の上限値」を考慮しよう
多くのレンタルサーバーでは、同時アクセス数の上限値が定められています。
サイトへのアクセスが多くなるほど、上限値に引っかかってページが表示されなくなる可能性が高まるため、同時アクセス数の上限値がどの程度か?は無視できません。
例えば、ディスク容量もデータ転送量にも余裕があり、機能も充実、さらに価格も安いレンタルサーバーのプランがあったとします。
安い料金で不便なくサイトが運営でき、コスパが高そうなプランに思えるかもしれませんが、もし同時アクセス数の上限値が低く設定されていた場合、ちょっとアクセスが増えただけでページが表示されなくなる可能性もないとはいえません。
普通に考えて共用サーバーでは、プランの価格が安いほど1サーバーへの収容ユーザー数も多いです。
収容ユーザー数が多ければ、それだけサーバーに負担がかかりやすくなるため、おのずと各ユーザーへの制限を厳しくせざるをえません。
となると、価格が安いレンタルサーバーのプランは、「同時アクセス数の上限値」も低く設定されていると考えられます。
レンタルサーバーのプランを選ぶとき、多くの方は料金や主な仕様だけをみて決めてしまいがちですが、それだけでは快適に運営できるかはわからないのですよね。
先にも述べた通り、ディスク容量や転送量の数値に余裕があっても、価格の安いプランは「同時アクセス数の上限値」が低い可能性があるからです。
特にアクセスの大きいサイトを運営している人、あるいはそのようなサイトを運営する予定の人や、サイズの大きい画像や動画ファイルをサイトで扱う場合は、同時アクセス数の上限値がどの程度か?は必ず考慮する必要があります。
ただ同時アクセス数の上限値は、ほとんどのレンタルサーバーでは公開されていません。
公開されていないものを考慮することは難しいですが、一部のレンタルサーバーやプランでは同時アクセス数について公開しているところもあります。
503エラーを発生させることなく快適にサイト運営したい人は、同時アクセス数の上限値がわかるレンタルサーバーを選ぶとよいでしょう。
同時アクセス数の上限値がわかるレンタルサーバーは?
多くのレンタルサーバーでは、同時アクセス数の上限値を公開していません。
また一部のレンタルサーバーやプランでは同時アクセス数について明記しているところもあるのですが、表立ってわかりやすいところには書かれていないのですよね。
同時アクセス数の制限については、公式サイトのFAQなどに記載されていることが多いため、良くチェックしてみましょう。
参考までに、同時アクセス数について言及しているレンタルサーバーをいくつかご紹介します。
ただし以下はあくまでも記事作成時点の内容であり、将来変更される可能性がある点についてはご留意ください。
mixhost
LiteSpeedを使った高速サーバーを採用する「mixhost」では、全プランともに同時アクセス数の制限はないとヘルプ&サポートに記載されています。
もちろんサーバーに負荷がかかった場合、当たり前ですが表示速度の低下が発生することはあります。
また高い負荷をかけることで、サーバー側からリソース制限(利用制限)が実施される可能性はあるため、同時アクセス数の制限はなくとも、自サイトの規模にあったプランを選ぶことが大切です。
コアサーバー
コアサーバーは、プランごとに同時アクセス数をはっきりと数値で公開しています。
・CORE-Y 同時接続数60
・CORE-Z 同時接続数200
上位プランになるほど同時接続数の上限には余裕がありますので、アクセスの大きいサイトを運営したい方は、できるだけ上位のプランを選ぶことです。
上位ほど価格は高くなりやすいですが、コアサーバーは長期契約だと割引が適用されて、月額費用がかなり安くなります。
ロリポップ ハイスピードプラン
ロリポップ!レンタルサーバーは、同時アクセス数の上限値を公開していません。
ですがマニュアルの中で、「ハイスピードプランを除く全てのプランで同時アクセス数について制限値を設けている」こと、また「プラン別に異なる同時アクセス数の上限値を設定している」ことを記載しています。
記事作成時点では、ハイスピードプランには同時アクセス数の制限が設定されていないため、アクセスが多いサイトを運営する予定の方はハイスピードプランを選ぶとよいでしょう。
ちなみになぜ、同時アクセス数の制限がないのが最上位のエンタープライズプランではなく、ハイスピードプランなのか?ですが、今のところハイスピードプランが、大量アクセスのサイト向けを謳ったプランだからではないかと思われます。
大量アクセス向けのプランであるのにもかかわらず、万が一にでも同時アクセス数の制限に引っかかって503エラーが発生するようなことがあった場合、体裁が悪いですよね。
あとあくまでも私の想像ですが、最上位のエンタープライズプランは、もともと同時アクセス数の上限値がかなり高く設定されているのではないかと考えられます。
エンタープライズプランでは「同時アクセス数拡張」と呼ばれる、制限値を一時的に緩和することができる機能も使えますので、大量アクセスがあったとしても503エラーを出さずにさばけるのでしょう。
以上のことより、ロリポップ!でプランを選ぶ場合はハイスピードプラン以上であれば、アクセスの多いサイトでも安心して運営できるといえます。
「同時アクセス数の上限値」以外の仕様も考慮すること
ここまで、レンタルサーバーの「同時アクセス数の上限値」について解説しましたが、プランを選ぶときには「同時アクセス数の上限値」以外の仕様も考慮が必要です。
同時アクセス数の制限がないことを謳っているプランを使っている場合、大量アクセスで503エラーが発生する心配はないかもしれません。
ですが、あらかじめ定められた転送量などのリソースを超えるようなサイト運営を行っていると、サーバー側から警告が来たり、なんらかの制限が実施される可能性は常にあります。
同時アクセス数の制限がなくても、大量アクセスが頻繁にあればその他の制限に引っかかってしまうのですよね。
なのでアクセスの大きいサイトを運営する場合は、あらゆる仕様に余裕のある上位プランを選ぶのが無難だといえます。