PASSANT i7AH9N76 レビュー Cooler Master CM 690 III 採用のゲーミングデスクトップPC Core i7-4790やGTX 760を搭載!
パソコン工房が販売するデスクトップPC、PASSANT i7AH9N76のレビューです。
PASSANT i7AH9N76はOSにWindows 7、CPUにCore i7-4790、GPUにGeForce GTX 760を採用するゲーム向けのデスクトップPC。
PASSANTシリーズと言うと、元々は同グループのFaithが扱うゲーミングブランドであり、人気のPCケースをはじめ、高性能なCPUやGPUを採用するなどパーツにこだわったモデルを多数展開していますが、最近そのPASSANTシリーズの製品をパソコン工房でも扱うようになったようで、掲載の製品はそのPASSANTシリーズでラインアップされているモデルの一つとなります。
本製品の特徴の一つとしてあげられるのは、ケースにCooler Masterの「CM 690 III」を採用している部分。
CM 690 IIIは、高い冷却性能と拡張性、またメンテナンス性にも優れた人気のケースであり、ゲーム向けのPCには最適。使い勝手の良さに関しては、間違いない製品と言っても良いでしょう。
今回は、そんなPASSANT i7AH9N76の外観や使用感、性能面などについて詳しく触れてみたいと思います。
【PASSANT i7AH9N76 レビュー記事目次】
・PASSANT i7AH9N76 に採用のケース(CM 690 III)外観や内部構造をチェック
(ケース「CM 690 III」の外観 / ケース内部の構造をチェック)
・構成内容と特徴・ベンチマークテストの結果
(構成と特徴 / ベンチマークテストの結果 / 消費電力・温度 / 再起動にかかる時間)
・製品のまとめ
(PASSANT i7AH9N76 まとめ)
※掲載製品は メーカー様よりお貸出しいただいたものとなります。
PASSANT i7AH9N76 に採用のケース「CM 690 III」の外観チェック
PASSANT i7AH9N76で採用されているCooler MasterのPCケース、「CM 690 III」の外観をチェックします。
サイズは幅230mm、奥行き502mm、高さ507mmとやや大きめであり、シンプルなデザインながら存在感のあるケースです。机の上などに置くには少々大きく、家庭などで利用する場合、床に設置して利用される方が多いのではないかと思います。
フロントパネル全体
フロントパネルは、上部ベイの光学ドライブ以外はすべてメッシュ仕様。
フロント下半分の通気口内部には20cmの大型ファンが設置されており、筐体内部へ多くの空気を送り込むような構造となっています。
上部のドライブベイには、基本構成ではDVDスーパーマルチドライブが搭載されていますが、カスタマイズでブルーレイディスクドライブへと変更する事が可能。
現時点ではブルーレイディスクドライブは、LGやPioneer製のドライブを選択できるようです。購入時に搭載できるのはこの一台のみとなります。
フロント下半分には一面にメッシュ仕様のパネル Cooler Masterのロゴが配置されている
ケース背面のインターフェースの内容を確認します。
ケース背面全体の様子
背面には左上からPS/2コネクター×2(マウス/キーボード)、USB3.0×4基、USB2.0×2基、LAN、オーディオ端子(左からマイク入力、ライン出力、ライン入力)が並び、拡張スロット付近にはDVIが2基とHDMI、DisplayPortが並びます。
背面中央付近に水冷用ホースを通す為のホールが見えますが、本製品はカスタマイズで水冷CPUクーラーを選択可能です。
ケース上部
ケース上部にもメッシュ仕様のパネルが採用されています。
このメッシュパネルは簡単に取り外しが可能です。
本来ならケース上部にも、フロント部分に搭載されているような大型の20cm冷却ファンを取り付ける事ができるはずですが、本製品のカスタマイズではそのようなオプションは提供されていません。
開閉可能なケース上部前方のパネル スライドさせるだけで取り外せる
パネルの内部には電源ボタンやUSB2.0×2、ヘッドフォン出力、マイク入力、USB3.0×2が並びます。
手前側のスペースは充電中のスマートフォンやよく利用する外部デバイスなどを置く、物置きトレイとして利用可能。
ちょっとした構造の工夫ですが、物を置いておけるのは結構便利です。
ケース右側面全体の様子
ケース左側面全体 グラフィックカード等が搭載される位置にメッシュ状の通気口が設けられている
底面4角を支える足
底面4角の足は、やや出っ張ったスタンドのような土台の底面に滑り止めゴムを設置したものが採用されており、設置面積が大きく安定感があります。
やや床から距離があるため、ケース下部に熱がこもり難くエアフローも良いです。
ケース底面のメッシュ部分には防塵フィルタが装着されています。
背面側にスライドさせ簡単に取り外す事が可能です。
底面の吸気口は結構埃の溜まりやすい場所であるため、メンテナンスしやすい構造であるのは良いです。
取り外した底面吸気口のフィルタ
ケース内部の構造をチェック
次に、PASSANT i7AH9N76のケース内部の構造をチェックします。
サイドパネルは両面とも、背面にあるネジを外す事で簡単に開閉が可能です。
背面のネジ
ケース左側面のサイドパネルを開いた図
ケース内部は一見しただけで、非常に拡張性が高く使い勝手が良さそうな設計である事がわかります。
ケーブルをケースの側面に収める事ができる裏配線仕様であるため、パーツ周りがケーブルでごちゃごちゃしてしまう事もなく、エアフローが良いので熱もこもり難いです。
ケーブル類は裏にまとめられている 反対側のサイドパネルを開いてアクセスする事ができる
フロント側上部に設置されている5.25インチベイ。
計3基で、掲載モデルでは最上段のベイにのみ光学ドライブが搭載されています。
ドライブの装着にドライバ―などを必要としない、ツールフリーの仕様です。
5.25ベイの下には、2.5インチベイ×4基と3.5インチベイが3基備えられています。
このベイには「SSD/HDDコンボトレイ」と呼ばれる、SSDとHDD両対応のトレイを採用。
またネジ留めされているフレームを組み替える事で2.5インチベイを3.5インチベイとして利用できるなど、自由度の高い設計を採用しています。
標準で700W電源を搭載 +12Vは4系統で最大出力は660W
グラフィックカード下部の様子
CPUやメモリ周りの様子
CPUのすぐ下にM.2スロット カスタマイズでPlextorのM6e(PCIe)を搭載可
電源ユニットと3.5インチベイの間に吸気口
PASSANT i7AH9N76 の構成内容とその特徴について
掲載している PASSANT i7AH9N76の構成内容とその特徴について解説します。
以下、CPU-ZおよびGPU-Zの実行結果と掲載モデルの構成内容です。
【CPU-Z】
【GPU-Z】
【PASSANT i7AH9N76 の主な構成】
OS Windows 7 Home Premium 64bit
プロセッサ Core i7-4790(3.60GHz/TB時最大4.00GHz)
チップセット H97 Express
グラフィックス NVIDIA Geforce GTX 760(2GB)
メモリ 8GB(4GB×2/PC3-12800(800MHz)/4スロット/最大32GB)
ストレージ 500GB HDD(7200rpm/TOSHIBA製)
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
拡張ベイ 5.25インチ×3、3.5インチ×7、2.5インチ×3
拡張スロット PCI Express3.0 x16×1、PCI Express2.0 x16(※x4動作)×1、PCI Express2.0 x1×2、PCI×2
電源 700W 80PLUS BRONZE認証 ATX電源
サイズ 230×502×507(幅×奥行き×高さ/mm)
重量 不明
保証 1年間無償保証
※記事に記載の仕様や解説等は、記事を作成した2014年12月10日時点のものです。
掲載のモデルの構成は上記のとおり。
冒頭でも述べた通り、基本構成そのままの内容を持つモデルで、OSにはWindows 7を搭載しています。
グラフィックカードは固定となりますが、OSにCPU、メモリにストレージなど基本的に一通りのパーツのカスタマイズを行う事が可能です。
とはいえ、高性能なCPUやグラフィックカードの搭載に加え、最初から700Wの電源を搭載する等、基本構成のままでも、大抵のゲームを快適にこなす事ができるでしょう。
ストレージがHDDであるため、全体の速度はパッとしませんが、起動ドライブにSSD等を用いればかなり快適なパフォーマンスになると思います。
非常に高速な、M.2 SSDの搭載も可能です。
なお、先の記事で本製品「PASSANT i7AH9N76」はFaithでも取り扱いのある製品だと述べた通り、掲載製品と同じものをFaithでも購入する事が可能です。
ただ、製品価格は全く同じで送料等も同じ(2014年12月10日確認)であるため、コスト面、製品内容共にどちらで購入しても変わらないと思います。
掲載モデルに搭載されているストレージの内容を確認します。
HDDの仕様
ディスクの内訳
TOSHIBA製の「DT01ACA050」という、3.5インチの500GB HDD(7200rpm)が搭載されていました。
基本構成で搭載されているHDDで、速度はHDDにしてはそこそこ速くはあるものの、SSDの速度に慣れている方だと遅く感じられると思います。
もちろんカスタマイズが可能で、より容量の大きいHDDや高耐久仕様のWD Red、SSDなどに変更する事が可能です。M.2 SSDを選択した場合は、OSはそちらにインストールされます。
購入時のオプションでは、上記起動ドライブの他、2台のストレージを追加可能。メンテナンスのしやすい構造であるため、自分でストレージの追加や換装等を行っても良いでしょう。
ベンチマークテストの結果
以下、掲載しているPASSANT i7AH9N76で実施したベンチマークテストの結果です。
【Win エクスペリエンス・インデックス】
プロセッサ 7.8
メモリ 7.8
グラフィックス 7.9
ゲーム用グラフィックス 7.9
プライマリ ハードディスク 5.9
※WinSAT.exeの実行によってスコアを取得しています。
【CrystalDiskMark】
Seq 165.8 / 162.8
512K 37.10 / 49.21
4K 0.395 / 0.607
4K QD32 0.802 / 0.417
いずれも数値は左がRead、右がWrite、テストデータはランダム
【3DMark】
3DMark 一部テストの実行結果
Fire Strikeの詳細
Sky Diver・・・ 17721
Fire Strike・・・ 5607
【モンスターハンターフロンティア 大討伐】
左:1360×768 / 右:1920×1080
1360×768 ・・・ 25311~25426
1920×1080 ・・・ 14866~14915
【ファンタシースターオンライン2 ver. 2.0】
左:1360×768 / 中央:1920×1080 / 右:1920×1080(最高画質)
1360×768(描画設定3) ・・・ 88015
1920×1080(描画設定3) ・・・ 49713
1920×1080(描画設定5) ・・・ 30027
~2000 処理負荷によっては動作が重くなる
2001~5000 標準的な動作が見込める
5001~ 快適に動作
【BIOHAZARD 6】
左:1360×768 / 右:1920×1080
1360×768 ・・・ SCORE:13943 / RANK:S
1920×1080 ・・・ SCORE:9831 / RANK:S
【FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア キャラクター編】
キャラクター編 左:1360×768 / 中央:1920×1080(高品質) / 右:1920×1080(最高品質)
1360×768(高品質(デスクトップPC)) ・・・ SCORE:16052 / 評価:非常に快適
1920×1080(高品質(デスクトップPC)) ・・・ SCORE:9997 / 評価:非常に快適
1920×1080(最高品質) ・・・ SCORE:9629 / 評価:非常に快適
【ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族】
左:1280×720 / 中央:1920×1080 / 右:1920×1080
1280×720(標準品質) ・・・ スコア:18699 / 評価:すごく快適
1920×1080(標準品質) ・・・ スコア:18582 / 評価:すごく快適
1920×1080(最高品質) ・・・ スコア:18000 / 評価:すごく快適
【CINEBENCH】
OpenGL ・・・ 80.11fps
CPU ・・・ 8.10pts
ベンチマークテストのスコアはいずれも高いです。
マルチモニタなど特殊な環境でゲームをするというのならともかく、一般的な環境では高画質設定であっても快適にゲームをプレイする事ができるでしょう。
ただ、ストレージがHDDであるため、全体的な速度はあまり速くはありません。
常に快適な環境でPCを利用したいのなら、標準構成のHDDをSSDに変更するか、M.2 SSDの選択をお勧めいたします。
消費電力・温度
PASSANT i7AH9N76の消費電力を測定してみました。
以下、アイドル時とベンチマーク実行時(BIOHAZARD 6)の消費電力測定値です。
アイドル時 ・・・ 43W
ベンチマーク実行時 ・・・ 238W
※実際の値は若干上下する為、平均と思われる値を掲載
GeForce GTX 760を搭載しているため、一般的なPCに比べると消費電力は高めです。
なお、上記の値には液晶の電力は含まれません。
またパーツの変更やストレージの追加等を行った場合、消費電力値は変化します。
次に、筐体内パーツの温度について。
以下はアイドル時と、ベンチマーク実行時(BIOHAZARD6を20分以上実行)のパーツ温度です。
全体的に低い値です。
ベンチマーク実行時でも、それ程大きくは温度上昇しませんでした。
比較的大きめのケースで冷却性能も高い為、掲載モデルの構成で熱が気になるなどという事はあまりないと思います。
ただ、やや温度低め(大体19~20度前後)の室内で測定していますので、温度の高い場所ではまた結果は変わってくる可能性があります。
再起動(起動&シャットダウン)にかかる時間
PassMark Rebooterを利用し、PASSANT i7AH9N76の再起動にかかる時間を測定してみました。
以下は10回の再起動時間測定結果と、その平均値です。
1回目 0:47
2回目 0:43
3回目 0:44
4回目 0:44
5回目 0:42
6回目 1:03
7回目 1:02
8回目 1:03
9回目 1:01
10回目 1:02
再起動(起動&シャットダウン)の平均時間 ・・・ 53秒
前半と後半で結果がはっきりと分かれてしまいましたが、平均すると再起動には50秒程度の時間がかかるという結果です。
これまでのテストより、HDDを搭載するPCの場合は再起動に約1分~1分半程度、またSSDを搭載するPCの場合、再起動に30~40秒かかるという結果が出ており、比較すると本製品は、HDDを搭載するPCにしては起動やシャットダウンが若干早いと言えます。
といっても、SSDなどに比べると遅いです。
途中にも書きましたが、より快適にPCを利用したいという場合は、ストレージにSSDをご選択下さい。
PASSANT i7AH9N76 まとめ
PASSANT i7AH9N76のレビューは以上となります。
最後にまとめると・・
・ケースにCoolerMaster CM 690 IIIを採用しており、冷却性、拡張性、メンテナンス性に優れる
・Core i7-4790やGeForce GTX 760(2GB)を標準搭載しており性能が高い
・OSにWindows 7を標準搭載(Windows 8.1の選択も可能)
同社が展開するFaithでも取り扱いのある、PASSANTシリーズのゲーミングデスクトップPCです。
ケースにCoolerMasterの「CM 690 III」を採用しており、冷却性能に優れているのはもちろん、拡張性も高くメンテナンスもしやすく、このケースだからこの製品が欲しいというユーザーもおられる事でしょう。
構成面においても、Windows 7やCore i7-4790、GeForce GTX 760(2GB)を標準で搭載しており、ゲームをプレイするためのPCとしては不足はありません。
ただHDD搭載であるため、OSやアプリの起動などの動作速度はそれ程速くはなく、SSDを搭載するPCの速度に慣れた方にはやや遅いと感じられると思いますので、ゲーム時のパフォーマンスだけでなくPC全体のパフォーマンスを重視される方は、ストレージにSSDをご選択ください。
より高速な、PCIe接続のM.2 SSDの選択も可能です。
※パソコン工房のゲーミングデスクトップPCはリニューアルされ、新ブランド「レベルインフィニティ」へと生まれ変わりました。