HP Pavilion 11-h000 x2の ベンチマーク結果 Celeron N2910搭載ハイブリッドノートの性能は?
前記事(HP Pavilion 11-h000 x2 レビュー Celeron N2910搭載の11.6型ハイブリッドPC)に続き、今度は HP Pavilion 11-h000 x2の性能面について。
掲載のマシンはプロセッサにCeleron N2910、メモリ2GB、64GB SSDという構成内容を持つモデル。
そこそこの性能を持ちながらもとても消費電力が低く、モバイル用途に適した構成だと言えるでしょう。
今回は、そんなHP Pavilion 11-h000 x2の構成や特徴、ベンチマークテストの結果等を掲載してみました。
【HP Pavilion 11-h000 x2 レビュー記事目次】
・HP Pavilion 11-h000 x2の外観・インターフェースの内容・操作性など
(外観・インターフェース / 液晶分離の様子 / キーボードの操作性 / 重量 / 液晶の見やすさ)
・HP Pavilion 11-h000 x2 Celeron N2910搭載モデルの性能
(構成とその特徴 / ベンチマーク結果 / 消費電力・温度 / バッテリ駆動時間)
・HP Pavilion 11-h000 x2のまとめ
(製品のまとめ)
HP Pavilion 11-h000 x2の構成とその特徴について
まず、掲載しているHP Pavilion 11-h000 x2の主な構成とその特徴について解説します。
以下、CPU-Zの実行結果です。
【HP Pavilion 11-h003TU x2 スタンダードモデル】
OS Windows 8 (64bit)
プロセッサ Celeron N2910(1.60GHz)
チップセット HM75 Express
グラフィックス HDグラフィックス
メモリ 2GB(2GB×1/DDR3L SDRAM/オンボード)
ストレージ 64GB SSD(Liteon製)
ディスプレイ 11.6型ワイドHD(1366×768)、IPS、光沢あり、タッチ対応
無線機能 IEEE802.11b/g/n、Bluetooth v4.0
バッテリ タブレット2セル、キーボードドック2セル
駆動時間 タブレット:約7時間30分、タブレット+キーボードドック:約10時間30分
サイズ(タブレット+キーボードドック) 303×206×25(幅×奥行き×高さ/mm)
重量 タブレット:約790g、タブレット+キーボードドック:約1.55kg
電源アダプター 45W
カラー スパークリングブラック
※掲載の価格や仕様・解説等は、記事を作成した2014年01月14日時点のものです。
掲載モデルの構成は上記の通り。
現在、HPの直販では上記構成のスタンダードモデルと、同じ構成に21.5型のIPSモニター(22bw)を付属させたモニターセットモデルの2モデルが販売されています。違いはモニターがあるかないかの差で、構成は全く同じです。
カスタマイズでは周辺機器類のオプションを追加したりする事はできるものの、主要なパーツの変更は行えず、構成は上に記載した内容のみとなっています。
HP Pavilion 11-h000 x2の構成面における特徴としては、キーボードドック側にもバッテリが搭載されている部分や、Celeron N2910の搭載があげられるでしょう。
Celeron N2910はタブレット向けのSoCとされる4コアのプロセッサで、現在のAtom(Bay Trail-T)に近いモデル。そこそこの性能を持ちながらも消費電力は非常に低く、モバイル用途に適したプロセッサだと言えます。
性能的に、Atom Zシリーズを搭載した製品と同等程度のパフォーマンスだと考えても間違いではないでしょう。(参考:Atom Z3740搭載タブレットのベンチマーク結果)
今回の製品はハイブリッドPCと謳われる通り、どちらかというとノートPCだという印象を持たれている方が多いのではと思いますが、個人的にはタブレット製品にキーボードが付属しているという印象を持っています。
なお、2014年1月10日にHP製品の各種春モデルが発表されましたが、その中にHP Pavilion 11-h000 x2の後継に当たる、HP Pavilion 11-h100 x2(HP Pavilion 11-h102TU)が存在します。
後継と言っても、プロセッサがCeleron N2910からCeleron N2920にアップグレードし、Windowsが8.1に更新され、カラーがフライヤーレッドになったくらいで他に違いはないようなのですが、Celeron N2920はCeleron N2910に比べるとクロックが1.86 GHz(バースト周波数2GHz)と若干向上しています。
性能にはあまり影響がないと思いますが、新モデルは1月下旬に発売予定となっていますので、購入を急がないのであれば新モデルの登場を待った方が良いかもしれません。
搭載されているストレージの内容について触れます。
SSDの詳細
ストレージにはliteon製の「LITEONIT L8T-64L6G-HP」という64GB SSDが搭載されていました。
6.0Gb/s対応、SATA3接続ですが、速度はSSDにしてはまあまあ速いという所でしょうか。ただ、Atomを搭載するようなタブレットのSSDがそれ程早くない事を思うと、今回のストレージは高速だと感じます。
使用感は快適です。
ベンチマークテストの結果
以下、掲載しているHP Pavilion 11-h003TU x2 のベンチマーク結果です。
【Win エクスペリエンス・インデックス】
プロセッサ 4.7
メモリ 5.5
グラフィックス 3.6
ゲーム用グラフィックス 5.1
プライマリ ハードディスク 7.7
【CrystalDiskMark】
Seq 228.5 / 168.2
512K 211.3 / 166.4
4K 21.12 / 31.51
4K QD32 92.76 / 61.81
数値は左がRead、右がWrite
【3DMark】
Ice Storm・・・ 16866
Cloud Gate・・・ 1222
Fire Strike・・・ 計測不可
【モンスターハンターフロンティア 大討伐】
1360×768
1360×768 ・・・ 729~735
【ファンタシースターオンライン2 ver. 2.0】
1360×768
1360×768 ・・・ 143
~2000 処理負荷によっては動作が重くなる
2001~5000 標準的な動作が見込める
5001~ 快適に動作
【BIOHAZARD 6】
1360×768
【1360×768】
SCORE ・・・ 615
RANK ・・・ D
【FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア】
ワールド編(1360×768)
ワールド編 ・・・ SCORE:890 / 評価:動作困難
【CINEBENCH】
OpenGL ・・・ 5.68fps
CPU ・・・ 1.19pts
当然、PCゲームのプレイが快適に行える性能ではありませんが、ブラウザゲームのような軽いものなら十分遊べるのではと思います。
前述した通り、今回のモデルはAtom Zシリーズ搭載のタブレットとベンチマークのスコアが非常によく似ており、Atom Z搭載タブレットに触れた事がある方なら、今回のモデルがそこそこの性能を持っているという事をお分かりいただけるかと思います。
といっても、Core iプロセッサを搭載したノートのようなサクサク感はありませんが、Windows搭載のタブレットとしては悪くない使用感です。
消費電力・温度
HP Pavilion 11-h000 x2の消費電力について。
以下、アイドル時とベンチマーク実行時(BIOHAZARD 6)の消費電力測定結果です。
アイドル時 ・・・ 6W
ベンチマーク実行時 ・・・ 14W
※実際の値は若干上下する為、平均と思われる値を掲載しています
アイドル時およびベンチマーク実行時の消費電力は低いです。
その分、バッテリ駆動時間は長め。
次に、ベンチマーク実行時の筐体温度について。
BIOHAZARD 6を20分以上実行させた後に、赤外線放射温度計を用いて筺体各所の温度を測定してみました。
正面
タブレット背面
今回の製品は主要なパーツがタブレット側に搭載されているため、負荷をかけるとタブレット前面背面の温度が上昇します。一方でキーボード側の温度は一定しており、気温の高い環境であってもキーボード操作などは快適に行えるはずです。
タブレット側は、特に画面中心部の温度が上昇しやすいようで、背面部中心付近(hpのロゴのある部分)の温度はは最高で40度以上を記録しました。
この製品で、PCゲームのような負荷の高いプログラムを実行させる事はないでしょうから、日常的にこのような高温になる事はないと思いますが、負荷をかけるとタブレットを手で持った際に熱く感じられる事はあるのではと思います。
バッテリ駆動時間
最後に、HP Pavilion 11-h000 x2のバッテリ駆動時間測定結果です。
駆動時間の測定にはbbenchというソフトウェアを使用、設定はストロークが10秒毎、無線LANを利用したインターネット(ブラウザ)へのアクセスが60秒毎。画面の輝度を半分程度にまで下げて測定しています。
なお、今回はタブレット側とキーボードドック側の両方にバッテリが搭載されているという事より、タブレットのみのバッテリ駆動時間と、タブレット&キーボードドック(ノートPCスタイル)のバッテリ駆動時間を測定してみました。
タブレットとキーボードドック、それぞれに2セルのバッテリを搭載
【タブレットとキーボードドック(ノートPCスタイル)】
【タブレット単体】
【バッテリの電力残量が100%から3%になるまでの時間】
タブレット&キーボードドック ・・・約11.3時間(11.3325)
タブレット単体 ・・・約6時間(6.03138888..)
公称ではタブレットのみバッテリ駆動時間は約7時間30分、キーボードドック装着時の駆動時間は約10時間30分。測定環境の違いなどで多少数値の前後はありますが、公称値と大きくは変わらない結果です。
Atom搭載のタブレットなどと比べると消費電力がやや高めであるため、バッテリの持ちなどは若干劣る傾向にあるのではと思いますが、それでもバッテリ駆動時間はかなり長めだと言ってよいでしょう。
製品のまとめ
HP Pavilion 11-h000 x2 のレビューをまとめます。
・液晶とキーボードドックを分離可能 軽量なタブレットのみをモバイルできる
・Celeron N2910 搭載でWindowsタブレットにしては性能はそこそこ高い
・バッテリ駆動時間が長い
記事の途中で、私的には今回の製品はタブレットの扱いだと述べましたが、性能的にも 現在普及しているAtom Zシリーズを搭載したタブレットと同程度だと考えてもらえると、使い勝手を想像しやすいかと思います。
ただ、ストレージはタブレットによくあるeMMCではなく、ノートPCに搭載されるような高速なSSDを搭載しているため、パフォーマンスはタブレットよりも高いです。
タブレットにキーボードドックや、ケース兼キーボードが付属するような製品は他にもありますが、HP Pavilion 11-h000 x2 に付属のキーボードは、使い勝手がHP製のノートPCのキーボードそのものといった感じであるため、おまけ的なキーボードよりも操作性が良いです。
その分重めであるため、ノートPCスタイル時の重量は重くなってしまいますが、自宅での作業時はノートPCスタイルで、モバイル時はタブレット・・という具合に割り切って使い分ければよいと思います。
高い性能を期待するユーザーには向きませんが、サブノート(タブレット)として利用できるマシンをお探しの方にはおすすめできる製品です。
なお、途中にも記載したように、2014年1月下旬に掲載製品の後継となる「HP Pavilion 11-h100 x2」が発売予定となっています。
現行製品との違いはWindowsのバージョンが8から8.1に、 Celeron N2910がN2920に、ボディのカラーがスパークリングブラックからフライヤーレッドに変更となる部分などで、それ程大きな差はありません。
ですが、新モデルのCPUは若干クロックが向上しているため(体感では気づかないくらいの差だと思いますが)、お急ぎでない場合は、新モデルの販売を待たれた方が良いかもしれません。
既に製品ページは存在していますので、購入を検討されている方は、現行モデルの製品ページとあわせてご確認いただければと思います。