HP s5730jp でベンチマーク AMDの6コアCPU搭載スリムデスクPCの性能は?
前記事(s5730jp の筺体内部構造と構成)に引き続き、s5730jpのレビューです。
今回の記事では、s5730jpで行った各種ベンチマークの結果を掲載します。
ただベンチマークのスコアのみを並べるだけでは面白くないので、
少し前に掲載したs5000の上位シリーズに当たるHPE 590jpとのスコア比較も掲載したいと思います。
(比較として最適なモデルではないのですが、一応同じ春モデル同士という事で)
というわけで以下、s5730jpのベンチ結果と他モデルとのスコア比較です。
まず最初にs5730jpの構成と、比較に用いるHPE 590jpの構成を確認します。
【HP Pavilion Desktop PC s5730jp の主な構成】
OS Windows 7 Home Premium 32bit
プロセッサ Phenom II X6 1065T (2.90GHz/TB時最大3.40GHz/L3 6MB+L2 3MB)
チップセット AMD 785G
グラフィックス GT420(512MB)
メモリ 4GB(2GB×2/PC3-10600/最大8GB)
ストレージ 500GB HDD(7,200rpm)
光学ドライブ ブルーレイディスクドライブ
電源 最大270W(Active PFC搭載)
サイズ 105×308×389(幅×奥行き×高さ/mm)
重量 約6.9kg
プロセッサにはAMDの6コアプロセッサ、Phenom II X6 1065Tを搭載しています。
こちらは今回のs5730jpで提供されている中では、最上位にあたるプロセッサとなります。
グラフィックスはGT420、その他に Radeon HD6450 や、
チップセット内蔵のグラフィックス(Radeon HD 4200)も選択可能。
ストレージには500GBのHDDを搭載していますが、
160GBのSSDなども提供されています。
前の記事でも述べましたが、今回の s5730jp には32bit OSを搭載している為、
メモリは4GBと控え目。(32bit OSで利用できるのは4GBメモリまで)
最大8GBまで可能となっていますので、4GB以上積むのであれば64bit OSを選択した方が良いでしょう。
そのような感じで、上記構成モデルの価格は約13万円前後。
提供されているパーツから見た場合、
今回掲載している s5730jp は、中の上~上の下程度の構成で、
s5730jp の中でもパフォーマンスは高い方だといえるでしょう。
自分的には、このモデルは拡張性は高くはないですが、
コストを抑えつつもそれなりに高いパフォーマンスを求める方には最適なモデルだと思います。
次に比較に用いる HPE 590jp の構成です。
【HP Pavilion Desktop PC HPE 590jp の主な構成】
OS Windows 7 Ultimate 64bit
プロセッサ Core i7-930 (2.8GHz/TB時最大3.06GHz/L3 8MB+L2 1MB)
チップセット X58 Express
グラフィックス GTX460(2GB)
メモリ 24GB(4GB×6/PC3-10600/最大24GB)
ストレージ 160GB SSD×2(RAID 0)
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ、ブルーレイディスクドライブ
電源 最大460W ATX電源(Active PFC搭載)
サイズ 170×420×385(幅×奥行き×高さ/mm)
重量 約11.9kg
こちらのHPEシリーズは、HPの個人向けデスクトップPCの中では最上位に当たるシリーズで、
その中でも HPE 590jp は最も性能の高い構成のモデルになります。
しかし今回掲載している HPE 590jp は、メモリとグラフィックス、ストレージなどは
ほぼ最大の構成となっていますが、プロセッサは最も下位のモデルを搭載しています。
自分的にはパフォーマンスを追求しているのでない限りは、
最大構成の HPE 590jp よりも、上記構成の方が性能とコストのバランスは良いと考えています。
ちなみにこの構成では約25万円弱となり、
最上位構成よりは低価格かもしれませんが決して安価ではありません。
コストを抑える場合、もう少しメモリを減らしてOSのバージョンも変えるなど、
まだいくつか変える余地のある構成だと思います。
というわけで、HPE 590jp は余り比較対象としては良いモデルではないのですが、
価格・内容が全く違うこの2つのモデルを比較してみます。
掲載するのは s5730jpのベンチ結果のみを載せるのが寂しいからという理由もあるので、
s5730jp のパフォーマンス以外は適当に見て頂くとよいかと思います。
【Win エクスペリエンス・インデックス】
プロセッサ 7.4
メモリ 7.4
グラフィックス 5.7
ゲーム用グラフィックス 6.5
プライマリ ハードディスク 5.9
Win Exインデックス | HP Pavilion Desktop PC s5730jp | HP Pavilion Desktop PC HPE 590jp |
プロセッサ | 7.4 | 7.5 |
メモリ | 7.4 | 7.5 |
グラフィックス | 5.7 | 7.4 |
ゲーム用グラフィックス | 6.5 | 7.4 |
プライマリ ハードディスク | 5.9 | 7.9 |
両モデルのエクスペリエンス・インデックススコアにおいては、
特にグラフィックスとプライマリ ハードディスクのスコア差が大きいです。
構成を見ればスコアに差があるというのは一目瞭然で、
グラフィックスに関してはs5730jpのGT420とHPE 590jpのGTX460、
そしてプライマリ ハードディスクにおいては、HDDとSSDの速度の差がそのまま出た数値だと言えるでしょう。
【CrystalMark 2004R3】
Mark ・・・ 184394
ALU ・・・ 44124
FPU ・・・ 43603
MEM ・・・ 32639
HDD ・・・ 13631
GDI ・・・ 8666
D2D ・・・ 12946
OGL ・・・ 28785
CrystalMark 2004R3 | HP Pavilion Desktop PC s5730jp | HP Pavilion Desktop PC HPE 590jp |
Mark | 184394 | 250946 |
ALU | 44124 | 52559 |
FPU | 43603 | 50557 |
MEM | 32639 | 45476 |
HDD | 13631 | 37572 |
GDI | 8666 | 14817 |
D2D | 12946 | 17759 |
OGL | 28785 | 32206 |
こちらは各項目の性能をより細かく(エクスペリエンス・インデックスより)表示します。
s5730jpはAMD、HPE 590jpはインテルとアーキテクチャが異なるので、
やや比較が難しい部分があるのですが、HPE 590jpの下位構成がs5730jpの上位構成モデルに近いという感触です。
価格的にもそう考えるとつじつまがあう感じです。
ちなみにs5730jpを購入する理由としては、省スペース性や最小構成価格の低さなどが上げられると思うのですが、
もし今回のs5730jpのような最小ではない構成で、特に省スペース性に拘らないのであれば、
比較として掲載したHPEシリーズのAMDプロセッサモデル「HPE 560jp」の方がお勧めだと思います。
これについてはまた、後日掲載する s5730jp のまとめ記事の方に記載します。
【3DMark06】
3DMark score ・・・ 6500
SM 2.0 Score ・・・ 2314
SM 3.0 Score ・・・ 2471
CPU Score ・・・ 5104
3DMark06 | HP Pavilion Desktop PC s5730jp | HP Pavilion Desktop PC HPE 590jp |
3DMark score | 6500 | 18882 |
SM 2.0 Score | 2314 | 7145 |
SM 3.0 Score | 2471 | 9340 |
CPU Score | 5104 | 5124 |
3Dパフォーマンスは見ての通り、倍以上異なります。
勿論このスコアはグラフィックスの性能差だけが影響しているのではありませんが、3D性能にはかなり差があるようです。
今回掲載している s5730jp は高性能ですが、
行う作業によっては HPE 590jp との違いを実際に体感する位、パフォーマンスに差があります。
特に負荷の高い作業(負荷の高いゲームのベンチなど)においては、それが顕著です。
【モンスターハンターフロンティア 絆】
平均 ・・・ 2057~2059
モンスターハンターフロンティア 絆 | HP Pavilion Desktop PC s5730jp | HP Pavilion Desktop PC HPE 590jp |
平均 | 2057~2059 | 13434~13464 |
かなり大きなスコア差ですが、間違いなどではなく実際のスコアです。
勿論解像度などの設定も同じで、これだけの差があります。
以下、似たような傾向のスコアが続くので、
コメント入れずにベンチ結果だけを続けて掲載します。
【大航海時代 Online】
平均 ・・・ 1903~1905
大航海時代 Online | HP Pavilion Desktop PC s5730jp | HP Pavilion Desktop PC HPE 590jp |
平均 | 1903~1905 | 3084~3095 |
【デビル メイ クライ 4】
平均fps ・・・ 35.70~70.28
RANK ・・・ B
デビル メイ クライ 4 | HP Pavilion Desktop PC s5730jp | HP Pavilion Desktop PC HPE 590jp |
平均fps | 35.70~70.28 | 173.57~332.09 |
RANK | B | S |
【FINAL FANTASY XI】
LOW ・・・ 9708
HIGH ・・・ 8068
FINAL FANTASY XI | HP Pavilion Desktop PC s5730jp | HP Pavilion Desktop PC HPE 590jp |
LOW | 9708 | 11732 |
HIGH | 8068 | 9745 |
【FINAL FANTASY XIV】
LOW ・・・ 1042
HIGH ・・・ 518
FINAL FANTASY XIV | HP Pavilion Desktop PC s5730jp | HP Pavilion Desktop PC HPE 590jp |
LOW | 1042 | 4346 |
HIGH | 518 | 2415 |
s5730jp のパフォーマンスについては以上となります。
高性能な HPE 590jp との比較でしたので、いまいちパッとしないスコアに見えたものもありました。
内容的に、今回の s5730jp は s5730jp で提供されている構成の中ではパフォーマンスは高い方なのですが、
やはりグラフィックス機能が上位シリーズのHPEと比較して、かなり落ちる感じの性能です。
このモデル(s5000)で負荷の高いPCゲームをプレイしようと考える方はそういないでしょうから、
グラフィックスにはHPEほど高性能なものは用意されていません。
むしろ、チップセット内蔵のグラフィックス機能を選択する事で、
できるだけ価格を抑える事が出来るという部分が、この s5730jp の魅力の一つだといってもいいでしょう。
というわけでとりあえず一旦まとめると、省スペース性に拘る方はこのモデルは適していると思います。
パフォーマンスは総じて高めではありますし、価格もそこそこ安いです。
ただスペースなどに拘らないのであれば、このモデルよりも上位のシリーズが自分的にはお勧め。
同じ構成でもやや安価なモデルが多いですし、提供されている構成の幅も広いので、
プロセッサは控え目でグラフィックスを高性能なものに・・などと選択の余地が広がります。
ちなみに、幅10.5センチという省スペース性な筺体が魅力だとされる s5000 ですが、
自宅使用で省スペースに拘る方ってそれ程多いものなのでしょうか?
オフィスなどでの利用ならばともかく、自分がデスクPCの省スペース性にはあまり拘らないので、
個人向けのデスクトップPCがコンパクトである事のメリットがそれ程思い浮かばないのですが、
まあ様々な利用環境があるという事で、そこそこのニーズがあるのであればそれに応じたラインアップを提供する必要があるのでしょう。
というわけで、次記事は s5730jp のまとめ記事を掲載します。
これまでに述べた事と、同じ内容の繰り返しになる部分もあるかと思いますが、
製品に興味をお持ちの方は是非次の記事もご覧下さい。
→ HPのデスクPC s5730jp のレビューです (箱開封&中身確認)
→ s5730jp の外観写真とインターフェース解説 (HP s5730jpレビュー)
→ AMDベースの s5730jp レビュー 筺体内部構造と構成をチェック
→ s5730jp でベンチマーク AMDの6コアCPU搭載スリムデスクPCの性能は? (現在の記事)
【日本HP 2011年春モデル 新製品のレビュー】
ノートブックPC
→ HP Pavilion dv6a ソノマレッドの詳細
→ HP ENVY14 2011春モデルは秋冬のマイナーチェンジ 変わらず最上級モデル?
→ HP G56 の詳細 シンプル(過ぎる?)&低価格ノート
デスクトップPC
→ HPの春モデル HPE 590jp のレビュー
→ HP Pavilion p6740jp の特徴と性能は? (2~4万円台のミドルレンジモデル)
→ HP TouchSmart 600PC 春モデルの特徴と性能 (23型タッチ機能付液晶一体型)
→ HP Omni 100 と Omni 200の特徴や違い・性能 (Omni 200はフルカスタム可能)