2016年9月26日、日本HPよりゲーミングデスクトップPCの新製品「OMEN X by HP 900シリーズ」が発表されました。先日開催された新製品発表会にて実機に触れてきましたので、その詳細をご紹介いたします。

OMEN X by HP 900は、HPがラインアップしているゲーミングブランド OMEN by HPシリーズのフラッグシップにあたるマシン。

性能をとことん追求したいゲーマー層向けの製品で、なんとGTX 1080(8GB)を2枚 SLI構成で採用するという究極の構成を持ち合わせています。

非常にユニークなトライチェンバーシャーシと呼ばれる筐体を採用している事に加え、メンテナンス性や拡張性に優れた設計、OMEN by Controlによる1670色のフロントLEDの搭載、VRの利用に最適化されている点など、ゲーマーのニーズをそのまま形にしたゲーミングデスクトップPCです。

凝った筐体構造や構成が構成なだけに、価格については相応の内容になってはしまうものの、とにかく性能を突き止めたいというユーザーには非常に魅力の大きい製品だと言えるでしょう。

今回は、そんな OMEN X by HP 900の特徴と筐体写真、構成内容などをご紹介したいと思います。


OMEN X by HP 900 の利用対象となるユーザーは?

まず、OMEN X by HP 900のコンセプトについて簡単にご説明いたします。
聞くところによると、HPではゲーマーを3つの層に分類して分析しているのだそうで、今回そのゲーマー層にマッチするような製品をそれぞれ販売しています。

3つのゲーマー層とは、比較的ライトな構成を求める「メインストリーム層」、またゲームプレイに適したハイパフォーマンスな構成を求める「パフォーマンス層」、そしてマシンのスペックや機能にとことん拘る「エンスージアスト層」の3種。



既にメインストリームとパフォーマンス層に向けては、7月に15インチ、17インチのゲーミングノートPC「OMEN by HP 15」「OMEN by HP 17」を販売しており、パフォーマンス層向けとしては「OMEN by HP Desktop 870」というゲーミングデスクトップPCや、「OMEN by HP 32 Gaming Display」という32インチのゲーミングディスプレイを販売。

今回のOMEN X by HP 900は、スペック重視の「エンスージアスト層」に向けて提供する製品なのだそうで、エンスージアスト層のユーザーのニーズをそのまま形にするというコンセプトの元、開発・設計が行われています。

ですので、ゲームはプレイするけれど程々の構成でOKという方には、今回のこのモデルはさほど響かないかもしれません。一方で、とにかくハイエンドかつ機能性の高いゲーミングデスクトップPCが欲しいという方には、魅力の大きいモデルだと言えるでしょう。

製品価格的に、購入するユーザーは低価格な製品ほど多くはないと思われますので、希少という点でも所有する満足度は高いものになると思われます。



OMEN X by HP 900シリーズの主な特徴

OMEN X by HP 900シリーズの特徴について解説します。
主な特徴は以下の通りです。

【OMEN X by HP 900の特徴】

・ GTX 1080を2枚、SLIで搭載している
・トライチェンバーシャーシと呼ばれるユニークな構造を採用
・自作ユーザーにも最適な筐体の構造と拡張性
・OMEN by Controlによりカスタマイズ可能な1670色のフロントLED
・VRの利用に最適化されている

■GTX 1080を2枚、SLIで搭載している

ハイエンドグラフィックカードGTX 1080(8GB)を2枚、SLI構成で搭載しています。

GTX 1080(8GB)は1枚でも、圧倒的なパフォーマンスを発揮できる高性能グラフィックカードです。そのカードを2枚搭載する事によって、他のマシンでは太刀打ちできないパフォーマンスを実現させています。

実際にベンチマークのデータなどは見ていないのですが、HPの方の話によると、圧倒的に高いスコアとFPS値を打ち出す事が出来ているのだとか。

GPU以外の構成については、CPUはオーバークロックに対応するCore i7-6700Kに水冷クーラーを採用し、ストレージには512GBのM.2 SSD(NVMe)や3TBのHDDを標準搭載。

ストレージは全4基を搭載可能となっており、全てホットスワップが可能となるなど、一般的なゲーミングデスクトップPCではまず見ない構造となっています。

■トライチェンバーシャーシと呼ばれるユニークな構造の採用

今回モデルで最も目を惹くのが、トライチェンバーシャーシと呼ばれるユニークな形状の筐体ではないでしょうか?

一般的なPCでは、1つの空間に様々なパーツを配置しているものが殆どですが、本製品は筐体内部を物理的な3つのエリアに区切ってパーツを搭載しており、それ故にトライチェンバーシャーシと呼ばれます。

製品写真を見ていただくとわかる通り、フロントパネルは4つに区切られるようなデザインを採用しており、そのデザインがOMEN Xの名前の由来となっているのだとか。



内部パーツの配置についてですが、まず上部のエリアにCPUやグラフィックカードを搭載し、下に電源ユニットを、右にストレージを搭載しています。

CPUとグラフィックカードは最も冷やさなくてはならない部分であるため、エアフローを考慮して同じ空間に配置したのだとか。

温かい空気は下から上へのぼるという自然の原理に基づいたエアフローにより、筐体下部や側面から吸気し、上から排気する様な空気の流れとなっています。

それ以外の電源ユニットやストレージは、CPUやグラフィックカードなどのパーツからは完全に隔離された状態です。

■自作ユーザーにも最適な筐体の構造と拡張性

本製品は特有の筐体構造により、マザーボードがPCの設置面に対して45度の角度で搭載されるようなスタイルとなっています。

これはたまたまこのような配置となったわけではなく、垂直な状態のマザーボードよりも、若干斜めに傾いていた方がパーツの取り付け作業がしやすいというメンテンナンス性を考慮してのものなのだとか。

この角度で搭載する事により、HDDやメモリ、グラフィックカードなどのパーツを斜め45度で挿す事が出来るようになっています。



あとマザーボードについては、一般的なMicroATX規格のボードを採用。
電源ユニットには1300Wの大容量モデルを搭載するなど、パーツの載せ替えや追加なども躊躇わずに行う事が可能な構成です。

このレベルのPCを買うユーザーは、PCを自作した経験があるという方が少なくはなく、既にグラフィックカードやHDDなど、他にパーツを持っている場合が殆ど。PCを購入したら、まずパーツの載せ替えや追加を行うという方は決して少なくはないでしょう。

OMEN X by HP 900はそういったユーザーにも好まれるような、拡張性の高い構成を標準で採用しています。

■OMEN by Controlによりカスタマイズ可能な1670色のフロントLED

フロントパネルの9カ所にLEDを搭載しており、プリインストールされているOMEN by Controlというユーティリティにより、1670色のカラーコントロールが行えるようになっています。

LEDはXのマークを中心にして配置された8つのエリアと、真ん中のOMENロゴに搭載されており、全て異なるカラーを設定する事が可能です。

また、色や点灯パターンを指定できるだけではなく、CPUやGPUの温度、使用率をカラーによって表現出来るようなモードも利用出来ます。

■VRへの最適化

ハイエンドなゲーミングPCを購入されるユーザーの中には、VRの利用を考えている方も多いと思います。

本製品は予め、AMDやNVIDIA 、HPのエンジニア等によって共同テストを行い、最適な値を設定したディスプレイドライバーをプリインストールしているため、VR用途にも快適に利用する事が可能です。


標準でVR用途に最適化されている



トライチェンバーシャーシと呼ばれるケースの外観をチェック

OMEN X by HP 900の筐体外観の様子をチェックします。



筐体の様子。
トライチェンバーシャーシと呼ばれる、非常に変わったスタイル・デザインの筐体です。

Xの形に区切られたデザインが、OMEN Xの名前の由来となっているのだとか。



フロントパネル全体。
下部にはVoodoo PCのロゴを配置しています。



フロントパネルにはLEDが9つのゾーンにわけて配置されており、付属のユーティリティ「OMEN by Control」にてカラーや点灯モード等のカスタマイズが行えます。


様々なカラーを設定できる

OMEN by Controlでは、固定カラー、カラーショー、システムモニター、オーディオショー、LEDの点灯オフというメニューを切り替える事が出来るようになっており、例えばサウンドに合わせてカラーを変更させたり、CPUやGPUの温度・使用率などをカラーで表現するような事も可能となっています。




「オーディオショー」 サウンドに合わせてLEDのカラーを変化させる事ができる


「システムモニター」 CPUやGPUの使用状況、温度などをカラーで示す事ができる



左側面(フロントパネル側から見て左)の様子。
やや見え難いのですが、下部に吸気口が配置されています。

CPUやメモリなどのパーツにアクセスする際は、こちら側のパネルを開くようになっています。



背面の様子です。
斜め45度にマザーボードが配置されているため、背面の端子も斜め45度の配置となっています。

下部には電源コネクター。



端子部を拡大してみます。

上部にUSBやLAN等の端子が、下部の拡張スロット付近には、グラフィックカードに搭載されている映像出力端子が並びます。

今回のモデルはGTX 1080の2枚挿しであるため、映像出力端子の数も2倍です。




そして、フロントパネル側から見て右側面の様子。

右側面の上側には、幾つかの端子とストレージ用のベイが搭載されているのが見えます。

端子は電源ボタン、マイク入力、ヘッドフォンとマイクのコンボポート、USB3.0×2基、USB Type-C×2基、メディアカードリーダーという内容です。



端子類のすぐ下には、4基のオープンベイを搭載。
本製品はHDDのホットスワップに対応しており、外部から簡単にストレージの抜き差しが行えるようになっています。



HDDはもちろん、SSDの搭載も可能です。



オープンベイが搭載されているさらに下側には、光学ドライブのスロットが搭載されているのが見えます。

ウルトラスリムタイプのブルーレイディスクドライブです。
本製品の光学ドライブはブルーレイが標準となっています。



ケース内部の構造をチェック

次に、ケース内部の構造です。

一般的なケースだと、ドライバーなどでネジを緩めてサイドパネルを外す事で内部へアクセスできるようなものが多いですが、本製品はフロントパネル下部に収納された専用レンチを利用し、サイドパネルを開くようなユニークな仕組みとなっています。



フロントパネルの下部に備わっている、秘密の隠し場所。



サイドパネル用のレンチやパーツ用のツール、ストレージ用のネジなどが収納されています。



このレンチを利用し、筐体背面にあるイジェクトボタンのロックを解除する事で、サイドパネルを開く事が出来るようになります。


レンチがなければサイドパネルを開く事はできないなど、セキュリティ面についても配慮されています。

といっても、多くのサイトがレンチのありかを公開してしまっているのですが、そういった情報を知らない人にしてみると、まさかフロントパネルの内部にレンチなどが収納されているとは思わないでしょうから、筐体内部へアクセスする事は難しいと思われます。




筐体内部の様子です。
マザーボードにCPU(水冷クーラー採用)やメモリ、2基のグラフィックカードが搭載されているのが見えます。

最初の方で述べた通り、電源ユニットやHDDは別の区画に収められているため、ここからはアクセスできません。



斜め45度にマザーボードが配置されているため、パーツの取り付け・取外しといった作業がとてもしやすいです。



下部にはメッシュ状の吸気口。
この吸気口や側面から空気を取り込み・・



上部から排気するような空気の流れとなっています。



OMEN X by HP 900 で選択できる構成と性能面について

OMEN X by HP 900で選択できる主な構成について解説します。

主にGTX 1080を1基とメモリ16GBを搭載する「OMEN X by HP 900-066jp」と、GTX 1080×2基(SLI)とメモリ32GBを搭載する「OMEN X by HP 900-070jp」の2種の構成が提供されます。

上記以外のパーツについては、全て共通の内容です。


【OMEN X by HP 900-066jpの主な構成】

・Windows 10 Home (64bit)
・インテル Z170 チップセット
・Core i7-6700K(水冷クーラー)
・16GB(8GB×2)
・GTX 1080(8GB)
・512GB M.2 SSD(NVMe)& 3TB HDD(7200rpm)
・IEEE802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.2
・ブルーレイディスクドライブ
・1300W 電源(80PLUS GOLD)
・幅504×奥行き406×高さ515mm、約28.2(予定値)
・キーボード・マウスはなし

【OMEN X by HP 900-070jpの主な構成】

・Windows 10 Home (64bit)
・インテル Z170 チップセット
・Core i7-6700K(水冷クーラー)
・32GB(8GB×4)
・GTX 1080(8GB)×2(SLI)
・512GB M.2 SSD(NVMe)& 3TB HDD(7200rpm)
・IEEE802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.2
・ブルーレイディスクドライブ
・1300W 電源(80PLUS GOLD)
・幅504×奥行き406×高さ515mm、約28.2(予定値)
・キーボード・マウスはなし


価格については、OMEN X by HP 900-066jpが348,000円(税抜/2016年8月26日時点)、OMEN X by HP 900-070jpが448,000円(税抜/2016年8月26日時点)となります。

さすがに、ハイエンドデスクトップPCであるという事を考慮してもお値段は高めとなっていますが、内容が伴ってさえいれば価格は気にしないと思われる層のユーザーに向けた製品ですから、価格の安い高いは重要ではないのでしょう。

なお、本製品にはキーボードやマウスが付属しておらず、別売りとなっています。
キーボードやマウスについては後の項で触れていますので、そちらをご覧ください。




展示機の構成 GTX 1080が2基 SLI構成で搭載されている


今回、実際のパフォーマンスまでは確認していないのですが、1基でも非常にハイパフォーマンスなGTX 1080を2基搭載しており、性能は倍とまではいかないと思いますが、例えば4K解像度でのゲームプレイなども高画質で快適に行えるという事が想像できます。

グラフィックカードだけではなく、CPUやストレージの構成も贅沢な内容となっているため、グラフィックカードの足を引っ張ってしまうような事はないでしょう。

性能を追求したい方には、理想のゲーミングPCです。



アクセサリー(OMEN by HP with SteelSeries)の詳細

先にも述べた通り、OMEN X by HP 900 にはキーボードやマウスが付属していません。

しかし今回、HPとSteelSeriesとのコラボによる「OMEN by HP with SteelSeries」というゲーミングデバイスブランドが発表されており、別売りではありますが、それらのデバイスが本製品のアクセサリーとして提供されています。

SteelSeriesのゲーミングデバイスは、ゲームをしている方なら知らない人はいないくらい有名なものですから、フラッグシップであるOMEN X by HP 900 にはぴったりのデバイスだと思います。

具体的には「OMEN by HP ゲーミングマウス」、「OMEN by HPゲーミングキーボード」、「OMEN by HPゲーミングヘッドセット」、「OMEN by HPゲーミングマウスパッド」の4種をラインアップ。

PC周りの環境を全て、ゲーミングデバイスで固める事が出来るようになっています。


以下、OMEN by HP with SteelSeriesのゲーミングキーボードやゲーミングマウスです。
なお、写真の製品は海外仕様かつテストユニットであるため、実際に日本で販売される製品とは異なる可能性があります。

「OMEN by HP ゲーミングマウス」と「OMEN by HPゲーミングキーボード」です。
ゲーミングヘッドセットもありましたが、撮っていません。





OMEN by HPゲーミングキーボード。
一般のキーボードとは異なり、マクロキーなどカスタマイズ可能な特殊キーが数多く搭載されています。

1670万色のLEDゾーンが5つ設けられており、イルミネーションを設定する事が可能です。




OMEN by HP ゲーミングマウス。
最大6500CPIの解像度の切り替えが行える他、1つのLEDゾーンの搭載、またクラウドでマウスのセッティングを同期できるようになっています。



これらキーボードやマウスは、専用のユーティリティで詳細にカスタマイズする事が可能です。


ユーティリティ SteelSeries Engine 3


上記キーボードやマウスは標準付属するものではありませんが、もしゲーミングマウスやキーボードをお持ちでないのなら、PCと同時購入しておくと良いと思います。



製品のまとめ

OMEN X by HP 900シリーズについては以上となります。

特殊な構造のトライチェンバーシャーシや、GTX 1080×2基のSLI構成を採用するなど、ちょっと他では見ない類のハイエンドゲーミングデスクトップPCです。フラッグシップというだけあって、あらゆるところが妥協の無い内容となっています。

記事中で述べたライトな構成を求める「メインストリーム層」や、ゲームプレイに適したハイパフォーマンスな構成を求める「パフォーマンス層」のユーザーにはオーバースペックなPCであり、価格も高いとあって現実感のない製品かもしれません。

ただ、パフォーマンスでは当分他に追い越されるような事はないでしょうから、長く利用できるという点ではコスパは悪くありません。といっても、多分このレベルの製品を買うユーザーはコスパなどはあまり気にしないと思われます。常に最高のスペックを所有しているイメージです。

HPはデザインを徹底的に追求したPCなど、ちょっと他とは毛色の異なる製品が多いですが、今回のこの製品は特に異色。

性能重視の方や豪華な構成が好みの方に魅力であるのはもちろんですが、買う買わないにかかわらず、多くのゲーミングユーザーにとって興味深いゲーミングPCだと言えるでしょう。

OMEN X by HP 900シリーズ、OMEN by HPゲーミングデバイス共に、販売開始予定は10月上旬となります。