XPS 11(9p33)のベンチマーク結果 性能は上々 バッテリの持ちがかなり良い
前記事(Dell XPS 11(9p33)レビュー 360度回転が可能な液晶を搭載する11.6型 Ultrabook)に続き、今回は XPS 11(9p33)の性能面について。
掲載しているXPS 11の構成は、Windows 8.1、Core i5-4210Yやメモリ4GB、256GB SSDという内容。
2014年2月14日現在、直販で販売されている「XPS 11 プレミアム・タッチパネル」という上位モデルに当たる内容の製品で、XPS 11のラインアップの中では性能は高いです。
今回は上記構成のXPS 11を使用し、各種のベンチマークテストの実施や、消費電力、バッテリ駆動時間といった性能面について詳しく検証してみました。
【XPS 11 Ultrabook(9p33) レビュー記事目次】
・XPS 11の外観・インターフェース・操作性について
(4つのモードに切替え可 / 外観・インターフェース / QHDの液晶を搭載 / キーボードの操作性 / 重量)
・XPS 11のベンチマークテストの結果・バッテリ駆動時間など
(構成とその特徴 / ベンチマーク結果 / 消費電力・温度 / 再起動にかかる時間 / バッテリ駆動時間)
・XPS 11 レビューまとめ
(製品のまとめ)
構成内容とその特徴について
まず、掲載しているXPS 11の主な構成とその特徴について解説します。
以下、CPU-Zの実行結果です。
【CPU-Z】
【XPS 11(9p33) プレミアム・タッチパネル 】
OS Windows 8.1 (64bit)
プロセッサ Core i5-4210Y(1.5GHz/TB時最大1.9GHz)
グラフィックス HDグラフィックス4200
メモリ 4GB(デュアルチャネル/DDR3L-RS)
ストレージ 256GB SSD(6.0Gb/s/mSATA/SAMSUNG製)
ディスプレイ 11.6型ワイドQHD(2560×1440)、タッチパネル、光沢あり
無線機能 Intel Dual Band Wireless-AC 7260、Bluetooth v4.0
バッテリ 4セル(40WHr/内蔵)
駆動時間 約8時間(公称値)
サイズ 300×201×11~15(幅×奥行き×高さ/mm)
重量 約1.13kg
電源アダプター 45W
※掲載の価格や仕様・解説等は、記事を作成した2014年02月14日時点のものです。
掲載しているXPS 11の構成は上記の通り。
OSにWindows 8.1、プロセッサにCore i5-4210Y、メモリ4GB、256GB SSDという内容を持つ、直販ではXPS 11 プレミアム・タッチパネルと言う名称で呼ばれるモデルです。
構成面における特徴としては、末尾にUのつく低消費電力のプロセッサよりもさらに消費電力の低いCore i5-4210Yの搭載や、メモリにおいてもDDR3L-RSと呼ばれる DDR3L(低消費電力タイプのSDRAM)よりも待機時の消費電力が低いメモリを採用しており、全体の消費電力が非常に低いという部分があげられます。
消費電力が低い分、標準的な製品よりもややパフォーマンスは低めの印象ですが、SSDを搭載しているため、OSやアプリの起動・処理速度は高速。
またパフォーマンスが低めとは言っても、Core i5を搭載しているため、そこそこのパワーは発揮できます。日常的な用途で性能不足を感じることは殆ど無いでしょう。
バッテリの持ちもかなり良く、モバイルノートとしてはとても使い勝手の良い製品だと言えます。
搭載されているストレージの内容について詳しく見てみます。
SSDの詳細
Samsung製のmSATA SSD、PM841が搭載されていました。
PM841はSamsungが販売しているSSD 840シリーズのOEM版となる製品です。性能は6.0Gb/s対応で高速。
256GBと容量もそれなりに大き目である為、写真や動画を沢山保存するなどといった使い方をしない限り、容量面で困るような事はないでしょう。
なお、XPS 11にはディスク容量の少ない構成のモデルもラインアップされていますが、換装等が難しいUltrabookですので、予算的に厳しいというのでなければ 256GB SSDが搭載された上位モデルをおすすめいたします。
ベンチマークテストの結果
以下、XPS 11で行った各種のベンチマークテストの結果です。
なお、Windows 8.1には、これまでのOSで提供されていたようなWindows エクスペリエンス インデックスの表示がありませんが、Windows内部にプログラム自体(winsat.exe)は残っているため、コマンドラインを利用して実行後、生成されたファイルよりエクスペリエンス・インデックススコアを取得しました。
【Win エクスペリエンス・インデックス】
プロセッサ 6.6
メモリ 5.9
グラフィックス 5.5
ゲーム用グラフィックス 4.9
プライマリ ハードディスク 8.1
【CrystalDiskMark】
Seq 494.1 / 252.2
512K 416.6 / 250.1
4K 21.89 / 82.33
4K QD32 300.7 / 247.4
数値は左がRead、右がWrite
【3DMark】
Ice Storm・・・ 24541
Cloud Gate・・・ 2619
Fire Strike・・・ 306
【モンスターハンターフロンティア 大討伐】
左:1360×768 / 中央:1920×1080 / 右:2560×1440
1360×768 ・・・ 1415~1419
1920×1080 ・・・ 817~818
2560×1440 ・・・ 488~489
【ファンタシースターオンライン2 ver. 2.0】
左:1360×768 / 右:1920×1080
1360×768 ・・・ 627
1920×1080 ・・・ 236
~2000 処理負荷によっては動作が重くなる
2001~5000 標準的な動作が見込める
5001~ 快適に動作
【BIOHAZARD 6】
左:1360×768 / 中央:1920×1080 / 右:2560×1440
【1360×768】
SCORE ・・・ 829
RANK ・・・ D
【1920×1080】
SCORE ・・・ 642
RANK ・・・ D
【2560×1440】
SCORE ・・・ 612
RANK ・・・ D
【FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア】
ワールド編 左:1360×768 / 右:1920×1080
キャラクター編 左:1360×768 / 中央:1920×1080 / 右:2560×1440
【ワールド編/設定:標準品質】
1360×768 ・・・ SCORE:1831 / 評価:設定変更を推奨
1920×1080 ・・・ SCORE:1107 / 評価:設定変更が必要
【キャラクター編/設定:高品質(ノートPC)】
1360×768 ・・・ SCORE:1278 / 評価:設定変更が必要
1920×1080 ・・・ SCORE:724 / 評価:動作困難
2560×1440 ・・・ SCORE:440 / 評価:動作困難
【CINEBENCH】
OpenGL ・・・ 12.51fps
CPU ・・・ 1.65pts
途中にも書いた通り、標準電圧版のCore i5を搭載するような製品と比べると全体的に性能は低めです。
といっても、日常的な作業(ネットやメール、文書作成、ちょっとした画像や動画の編集など)が快適に出来る位の性能は持ち合わせており、さらに高速なディスクを搭載している事もあって使い勝手は良いです。
なお、XPS 11には今回のモデルと同じく、超低電圧のCore i3-4020Yを搭載した下位モデルもラインアップされていますが、掲載している上位モデルとの内容差や価格差を考えると、今回の Core i5-4210Y を搭載したモデルの方がコストパフォーマンスは高いのではないかと思われます。
性能的にも上位モデルの方がお勧めです。
消費電力・温度
XPS 11の消費電力について。
以下、アイドル時とベンチマーク(BIOHAZARD 6)実行時の消費電力測定結果です。
アイドル時 ・・・ 7W
ベンチマーク実行時 ・・・ 17W
※実際の値は若干上下する為、平均と思われる値を掲載しています
アイドル時は7Wと、このサイズ・内容のノートPCにしては低めの消費電力ですが、特にベンチマーク実行時の消費電力が低いです。
次に、筐体内のパーツの温度について。
アイドル時の温度と、ベンチマーク(BIOHAZARD 6)を20分以上実行した後の温度をそれぞれ測定してみました。
高負荷な状態が続くとCPU温度は若干上昇しますが、最大でも70度を少し超える位。
搭載されているプロセッサは元々発熱の大きくないモデルですので、温度面はあまり気にする必要はないのではと思います。
さらに、高負荷時(BIOHAZARD 6を20分以上実行)のキーボード表面の温度を測定してみました。
キーボードが非常に薄く、外部に熱が伝わりやすい構造ではありますが、キーボード左側と中央がやや温かくなる程度で全体的に低温です。
なお、筺体側面を見てもどこにも排気口らしきものが見当たらず・・ よく見るとヒンジとキーボードの接続部に排気口が設置されていました。
上写真の矢印先付近に排気口が設置されています。
内部パーツの発熱が小さい為、このような場所への設置ができるのでしょう。
一般的なノートだと、本体側面に排気口が置かれている事が多いですが、排気口付近は高温になりやすい為、物などを置かない様にやや気を使います。(私自身はスマホやタブレット、USBメモリなどといった細かいものをPC周辺に置いている事が多いので)
しかしXPS 11ではそういった気遣いは不要です。
再起動(起動・シャットダウン)にかかる時間
PassMark Rebooterを利用し、再起動にかかる時間を測定してみました。
10回再起動を繰り返したのち、それぞれにかかった時間より平均時間を割り出しています。
1回目 0:41
2回目 0:40
3回目 0:40
4回目 0:39
5回目 0:40
6回目 0:38
7回目 0:39
8回目 0:38
9回目 0:40
10回目 0:38
再起動の平均時間 ・・・ 39秒
再起動(起動、シャットダウンを合わせた時間)の平均時間は39秒という結果になりました。SSDを搭載しているため、非常に高速です。
参考までに、HDDを搭載したノートPCでは早くて1分前後、遅くて1分50秒前後ほど再起動に時間がかかりました。(もちろん、ストレージ以外の構成内容によっても時間は前後します)
バッテリ駆動時間
掲載しているXPS 11のバッテリ駆動時間を測定してみました。
測定にはbbenchを利用、設定はストロークが10秒毎で、無線LANによるネット(ブラウザ)へのアクセスは60秒毎に行われるようにしてあります。
画面の輝度は、最大の半分程度に設定。
バッテリの電力残量が、100%から5%に減少するまでの時間は43757秒。
約12(12.1547222..)時間もの間、バッテリ駆動が可能という結果です。
公称のバッテリ駆動時間の8時間という値よりも長いです。
なお、上記は多少の文字入力とネットの閲覧のみを行った場合の測定結果で、行う作業の負荷の程度によってはもっと短くなる可能性もありますが、多少負荷をかけても8~10時間は持つのではないかと思われます。
普通の使い方であれば、一日充電しなくても十分に電力は持つでしょう。
XPS 11 まとめ
XPS 11について最後にまとめます。
・ノート、スタンド、テント、タブレットの4通りのモードでの利用が可能
・このタイプの製品にしては軽量・コンパクトで使いやすい
・QHDのタッチディスプレイを採用 高解像度な画像や映像がとても綺麗
・長時間のバッテリ駆動が可能にもかかわらず、パフォ―マンスもそこそこ高い
・デザインが良い、高級感がある
・キーボードは使い難い
4通りのモードへの変形が可能な筺体や、非常に高解像度で美しいタッチ液晶の採用など、トレンドを取り入れた今風の製品だと感じます。
程々に高い性能を持ちながらもバッテリ駆動時間はとても長く、また11.6型とコンパクトで約1.13 kgと軽量であるなど、単なるモバイルノートと考えても使い勝手の良い製品だと言えるでしょう。
XPSシリーズの製品だけあって見た目に高級感があり、デザインにこだわるようなユーザーにも満足のいくノートPCだと思います。
ただ一つだけ気になったのは、キーボードの操作性。
途中にも書いたように、XPS 11のキーボードはタッチタイプでキーストロークが殆どなく、普段からキーに高さのあるキーボードをお使いの方には打鍵に違和感があると思います。
使い勝手の良し悪しは慣れも関係あるのかもしれませんが、個人的には、文字入力作業を頻繁に行われるような方にはお勧めでき無いキーボードだと感じます。
ただ、キーボードを薄くする事によって、タブレットやスタンドモード時の使い勝手を良くしたり、筺体軽量化へも貢献していると思われますので、全体的な使用感や携帯性などを重視するユーザーには扱いやすいノートPCです。
価格に関しては、高級系を謳うXPSシリーズの製品ですのでInspironシリーズ等よりも高めですが、最近のPCの値上がりやXPS 11の内容を考えると、思った程高くはないという印象です。
以上となります。
記事が参考になれば幸いです。
なお、XPS 11の価格や詳細な仕様については、公式の製品ページにてご確認ください。
PCの購入を検討されている方は、「今週のお買得ノート」ページもあわせてご覧いただく事をお勧めいたします。